第6章 勝者と敗者

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手首の縄を解かれたルブリンは、もとの檻へと戻されました。
改めて見るとそこは、内と外の堤の間に設けられた馬の檻で、そこに捕虜たちは集められていました。
見張りの持つたいまつの明かりと暗闇のはざまに、陰影が深く刻まれた顔が浮かんでいます。
自分に向けられた顔の中に、見知ったものはいないかと窺うと、何人かを見つけることができました。
おそらくは、大峠の戦場から捕虜として引き連れてこられたのであろう、ほんの一握りの戦士たち。
女や、何人かの子供もいます。
そのほかには、外の開拓地からの見知らぬ者たちの顔もありましたが、しかし彼らも確かにルブリンの民の顔をしていました。
皆、敗北に色を失い、まるで石のようです。
傷付いていない者などありません。
どこからか男のうめき声が聞こえ、自分自身の血を吸いこんで泡をふいています。
またどこからか、子供の泣きわめく声と、それをなだめる女の声が聞こえます。
たいまつの明かりがとどく端には、横たわる男に覆いかぶさるようにしてひざまずく、テレリの姿がありました。
まだかすかに残る額に描かれた月の印で、それが彼女であると兄にはわかったのです。

ルブリンを見返す顔はどれも、もう二度と見るはずのないものを見た、とでもいう顔をしています。
その瞳と同じくらいうつろな声で、彼らは問いかけてきました。
ルブリンは、彼らの前にしっかりと立って答えました。

「いいや、私はまだ狼の餌なんかじゃない。我らの誰もがだ。そう思っている。さっき、奴らの族長に広間の前庭で会わされた。父の頭が、その族長の戦車のへさきに括りつけられていた。奴が言うには、奴の手の中にあるそなた達に今後話をする際には、私を通じて話すということだ。私が、奴とそなた達の間の耳となり口となる、と言われた。」

ルブリンには、二つの風が同時に生き残りの彼の民の間を吹き渡ったのが感じられました。
ひとつは安堵のため息。
このような戦の後の勝利には、捕虜の殺りくが伴うことが少なくないからでした。
戦士たちにとっては、戦いの中で死ぬことはともかく、戦勝者の神の生け贄として死ぬことは別の話でした。
もうひとつの風は、少し冷たいものでした。
そしてルブリンにはしばらくの間、それが何を意味するのかわかりませんでした。

テレリは立ち上がると、ルブリンに向き合いました。
彼女の着ていたチュニックは、上から下まで血で汚れています。
テレリは言いました。

「なぜあなたなの?」

テレリが動いたので、それまで影を落としていた場所がたいまつの明かりに照らし出されました。
彼女がひざまずいて覆っていた男はダラでした。
ダラは瞳を半ば開き、半ば閉じて横たわっています。
首と肩の間の血みどろの布の固まりからは、まだ黒々とした血がしみ出ています。
ルブリンは近寄ると、立ったまま見下ろして言いました。

「助かるのか?」

「わからないわ。」テレリはそう言うと、同じ問いを繰り返しました。
「なぜあなたなの?」

「僕は族長の息子だからさ。」

「ダラが族長よ。」

ルブリンの頭は未だ混乱していて、冷静にものを考えられませんでしたが、それでも彼の中の最も奥深いところで、その事実からダラを、そして敵の目からも遠ざけておいたほうがよい、少なくともしばらくの間はそうすべきだということがわかっていました。

見張りの目を気にしながら、声を潜めたまま続けました。

「ダラが族長であることは伏せておくべきだと思う。もうしばらくの間は。」

テレリは密やかに答えました。

「彼なら、我らと征服した奴らの間で耳と口などには決してならないはずだわ!」

そして、ルブリンには冷たい風の意味するものがわかりました。

族長の荷は、思っていた以上に重いものだったのです。

世界は再び、ルブリンの周りで揺らぎ始めました。
気力を振り絞ってようやく姿勢を保つと、妹の前から、そしてダラから、最も遠く離れた薄暗い片隅へと歩み去りました。
そして、ひざから崩れ落ちたかと思うと、心臓が飛び出すかと思うほどに嗚咽し続けたのでした。










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