
第7章 囚われの冬
(1) 「奴ら、俺たちをどうするつもりだろう?」誰ともなく尋ねました。
「何か使い道があるんだろうよ」ほかの誰かが答えました。
「いずれわかるさ。」
案の定、征服者たちの目的はじきにわかりました。
今やこの丘砦は、征服者アトリベイツにとっての最前線の要塞でしたが、大部族のそれに相応しい大きさも堅牢さも備えてはいません。
芝土と材木で作られた壁は、もっと南にはり出していなければなりませんし、残った塁壁も補修され補強されねばなりません。
それに堀も、より広くより深く掘られなければなりません。
それは『槍(やり)の支配者』アトリベイツがするべき作業ではありません。
古き人々、暗き肌の民の仕事でした。
しかし、古き人々は戦が始まるとさっさと森の中へ姿を消しました。
いずれふらり舞い戻ってくるでしょうが、それはまだ先のこと。
征服者たちの盛衰を見定め、自分達の番が巡ってくるやも知れぬと様子を窺うことが古き人々の常でした。
ですからその秋と冬の間は、ルブリンとぼろ屑のように生き残った彼の民の仕事だったのです。
はじめ、ルブリンの民は無謀にも征服者たちに反旗を翻えして活路を見出そうとしました。
ルブリンは全身の力をこめて反対しました。
「ただ死にに行くようなものだ、意味がない。我が一族が根絶やしになる、もちろん子供たちもだ。子供たちのことを忘れたのか? こうして・・・」
「こうして生き延びるのか・・・アトリベイツの奴らの踵(かかと)を首にのせられたままで。」
かつて男子の館でルブリンと一緒だったクノが、軽蔑の色を浮かべた視線をまっすぐ向けて言いました。
「いかにも暗い血を持つ奴が言いそうなことだな。」
同じようにささくれだったささやき声が周りで沸き起こりました。
微かな鼓動がルブリンの喉の奥で脈打ち始めましたが、それをなんとか鎮めました。
もし仲間同士で争いが始まれば、本当におしまいです。
「ルブリンは、我が一族の女の血を分けた者だ!」
ダラの声でした。
まだ息の弱いしわがれた声がした方をルブリンが見やると、堤の雨よけ部分で、古い牛皮の敷物にひじをつき、精いっぱい身を起き上がらせようとしているダラの姿がありました。
彼の顔は樺の樹皮の内側から切り取った白い取り木のようであり、その髪は深い傷のために今だ下がらない熱の汗にまみれています。
しかし彼の瞳は、げっそりと深く窪んではいましたが、挑みかかるように大きく見開かれていて、髪の毛はまるで怒った雄鶏の如く逆立って見えました。
「これ以上そんな言葉を吐く奴は絞め殺してやるから、俺が立ち上がれるようになるまで待っているんだな!」
その時、ルブリンは初めてダラが助かると確信しました。
そして、テレリが生まれたあの日に、族長の炉辺で感じたあの暖かさや力強さと同じものが込み上げてくるのを感じました。
けんかの最中、友の肩が自分の肩に触れたあの時と同じぬくもりが広がるのを。