第9章 鷹と神々と地に住む人が見るもの

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ルブリンは、昨夜の湿気が牛革に塗った石灰をすっかり洗い流してしまい、遠くから見ることが出来なくなっているのではないか、と心配でした。
しかし、ようやく辿り着いたお気に入りの枝の先端の、もつれた小枝をかき分けて眺めると、ちゃんとありました。
雨上がりの朝の透明な光の中、容易に跡をたどることができます。

ルブリンはしばらく横たわったままで、露出させた白亜で印から印へと引かれる白い輪郭線をイメージしてみました。
鼻から耳へ、首から背中そして尻尾へ、前脚から首の曲線へ駆け上がり、再び頭へと繋がる一筆書きの線を。

良い馬になりそうだ。
でも、いくつかの印は場所をずらさなくては。
隣との間隔の倍近く右へ移動させなければならないものもあれば、同じくらいの距離を丘の上に移動させなくちゃならないものもある。

ルブリンはそう思いました。
しかし丘の斜面の勾配を捉えることは、容易なことではありません。
谷間の空では、ノスリが歌いながら円を描いています。
広げた翼の端が、舞い上がる風を受けてかしげています。
かすかな鳴き声が聞こえてきた彼方を見上げたルブリンは、あの大きな鳥の様に空から一望できたらいいのにと思いました。

煌めく空の絶壁に向かって円を描いて飛び、空へと迫るように眼下に広がる丘陵がゆっくりと体の下で回っている。
そうすればわかる・・・・いいや違う。
それじゃあ解決にはならない。
あの馬はいつだって地上の者たちから見られなければならないのだから。
誰もあんな高みから見ることは叶わないのだ。
それができるのはノスリやその仲間、そしておそらくは神々だけ。

ルブリンはそう考えると混乱して、頭だけでなく心まで痛くなりました。
一つだけ確かなことがあります。

あそこにある二つの印を移動させなければならない。
僕は出来る限りのことをする。
人として。
神としてではなく。

ルブリンはぐったりとして魔女楡の木を降りると、再び丘砦とその征服者の元へ、ルブリンの民であるぼろぼろになった仲間の捕虜たちの一団の元へと戻って行きました。











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