新島学園短期大学 イマージョン教育研究所 E-mail: tandai@mail.neesima.ac.jp
イマージョン教育研究所HPへようこそ
 新島学園短期大学は「イマージョン教育」の研究所として2003年8月、「イマージョン教育研究所」を開設しました。
 イマージョン教育とは、母国語以外の言語で通常の授業(理科や体育など)を行う教育プログラム。全国に先駆けて群馬では、地方自治体として英語によるイマージョン教育に積極的な姿勢で取り組んでいます。「イマージョン教育」の発信地として、イマージョン教育研究所は様々な研究、活動を行っていきます。

●最新情報
他の教育機関へ提供しているプログラムの授業レポートが毎週、更新されるようになりました。

●更新履歴  

イマージョン教育とは
(1)イマージョン教育の意味と発祥の歴史
(2)イマージョン教育の導入時期によるイマージョン形態
(3)第二言語を使用する頻度による形態
(4)成果
(5)早期イマージョン VS 後期イマージョン:どちらが効果的か
(6)日本の英語イマージョン教育の歴史と現状
(1)イマージョン教育の意味と発祥の歴史
 イマージョンはimmersionのカタカナ表記で没入法<外国語教育で、その外国語だけを用いての教授法>と辞書には載っています。もう少し具体的に言いますと、イマージョン教育とは、通常の教科の授業を第2言語で教えることにより、学習者に自然に第2言語を習得させる教育プログラムです。ですからイマージョンプログラムでは第2言語を教授の対象ではなく、教科内容を指導する手段として使います。
 第2言語が英語の場合には、英語イマージョン教育といいます。イマージョン教育は、1965年、カナダのケベック州で英語が母国語の子供たちにフランス語を教える手段として導入されたのが始まりです。この教育方法が高い成果を生み、アメリカの公立学校で急速に普及しました。今日ではアメリカの約200の学校で、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、オランダ語、アラビア語、ロシア語、ポリネシア語、日本語のイマージョン教育が行われています。学んでいる学生数は約32万人といわれています。
 カナダ、アメリカだけではありません。ヨーロッパ、アフリカ、アジアの様々な国で第二、第三言語をイマージョンプログラムで学んでいる学生数は数百万人を越えるといわれています。
(2)イマージョン教育の導入時期によるイマージョン形態
 (a) 早期イマージョン ― 幼稚園、あるいは小学校から始める。
 (b) 中期イマージョン ― 小学校4年生以降に始める。
 (c) 後期イマージョン ― 中学校か高等学校から始める。
(3)第二言語を使用する頻度による形態
(a)全体イマージョン
プログラムの初期段階では、すべての教科の授業が第2言語で行われます。学年が上がるにしたがい、第1言語による授業が増えます。
(b)部分イマージョン
プログラムの開始時からカリキュラム全体の教科を第1言語で行う科目と、第2言語で行う科目に分けて指導します。第1言語と第2言語を50%ずつにする場合が多いです。この場合、算数、理科、体育、美術などが第2言語で指導されます。これらの科目がイマージョン教科として選ばれる理由としては「授業中の学習活動に実践的参加型の活動が多く自然な言語習得が起こる状況が造りやすい」という点が上げられています。
(4)成果
(a)完全イマージョン
1977年から3年間にわたりスペイン語イマージョン教育を受けたアメリカの小学6年生を研究したところ、第2言語の学習は、他教科の効果的な習得にも役立つということが明らかになりました。古い研究成果ですが、イマージョン教育の一般傾向を示すデータとしてよく引用されているデータです。研究成果は以下の3点から成り立っています。
  1. 母国語である英語で授業を受ける機会がほとんどなかったにも関わらず、英語だけで授業を受けている普通コースの生徒よりも英語の読解力や表現力が優れている。
  2. スペイン語の読解力は同年代のネイティブ・スピーカーとほぼ同程度だったが、スペイン語の発話の正確さは読解力や聴解力に比べて、その達成度合いが低い。
  3. しかし算数はネイティブスピーカーの標準値を上回っている。
(b)部分イマージョン
 1989年、90年の2年間、日本語イマージョン、スペイン語イマージョン、フランス語イマージョンプログラムに参加した英語を母国語とするアメリカの小学生1007名を対象に研究調査を行ったところ、第2言語を通して学んだ教科の知識は第1言語でその教科に対処する場合にも応用できることが明らかになりました。以下が報告書の概要です。
 生徒達は2年間、算数、理科、体育のイマージョンプログラムを第2言語で受けました。そして2年間の終了時に算数のテストを英語で受けました。ところが、算数の授業を2年間英語で受けてきた生徒よりも成績が3%上回っていました。これは第2言語で受けた算数の知識を応用して英語で出題された問題を解くことができることを証明するものです。
 また英語の読解テストの結果ですが、英語だけで学んできた生徒よりも高い点を出しました。これは第2言語の学習を通して学んだ知識を第1言語に応用していることの証です。
(5)早期イマージョン VS 後期イマージョン:どちらが効果的か
 言語は早期学習というのが一般論です。確かに、早期イマージョンの生徒はプログラム開始から約2年間で、聴解力と読解力に関しては同年齢のネイティブスピーカーと同等のレベルに達することは、教育現場の報告から明らかになっています。しかし早期イマージョンがすべてに優っているわけではありません。認知力や母語が発達しているからでしょうが、後期イマージョンの生徒の方が早期イマージョンの生徒より速くたくさんのことを学ぶことができることが明らかになっています。
 さらにカナダのある地域が、小学校1年生の時から早期イマージョンを受けてきた高校2年生と、中学校1年生の時から後期イマージョンを受けてきた高校2年生の二つのグループを対象に、言語適正及び言語運用力を評価するテストを実施しました。以下のようなテスト結果がでました
  1. 言語適正ではすべての面で後期イマージョンの方が高い成績を修めた。とくに分析能力においては、はるかに優れていた。
  2. 言語運用では、語彙認識と口頭試験の分野においては早期イマージョンの生徒のほうが優れていた。しかし作文力では後期イマージョンの方がはるかによい結果を出した。
(6)日本の英語イマージョン教育の歴史と現状
 日本国内でのイマージョン教育のパイオニアは、92年に暁秀初等学校で英語イマージョンプログラムを始めた静岡県沼津市の加藤学園です。それから11年、その実績は暁秀初等学校、暁秀中高のバイリンガル中高プログラムの授業の様子を観察させてもらえば納得できます。
 その他、東京の佼成女子、横須賀の緑ヶ丘女子中学校、関西の立命館宇治など10校余りが英語イマージョンプログラムを行っています。
 2002年3月、アメリカオレゴン州のLLT(Language Learning solutions. 代表:David Bong氏)が英語イマージョンプログラムの実施を計画している、あるいは実施に多いに関心があると答えていました。
 イマージョンという言葉は使っていませんが、ALTではなく自分たちが独自に雇用した英語のネイティブ講師に特定教科を英語で教えてもらっている学校の数も着実に増えてきています。そうした傾向も私立の中高に集中しています。
 しかし場合によると、公立学校の方にイマージョンプログラムがより多く広まることも十分予測されます。群馬県で2004年から始まるイマージョンプログラムが大きな評判を生むことは間違いありません。その影響が他の県や地方自治体へ急速に波及する可能性が十分にあるからです。
 日本語を母語とする人を対象とした英語イマージョン教育をもっとも熱心に実践している権威者は加藤学園バイリンガル教育ディレクター。マイク・ポストウィック博士だといわれています。
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