|
|
1.プロジェクトの変更
- 当初立てた、または途中で立てた計画の全体もしくは一部を変えることをプロジェクトの変更と言います。
- プロジェクトの変更は、関係者間に論争や衝突を惹き起こすだけでなく、スケジュールやコストに多大の影響を与えます。だが、プロジェクトには、変更のないプロジェクトはありません。
- プロジェクトマネージャは「ノー」と言って逃げてはなりません。変更が出て来た背景を理解し、変更に対して柔軟にかつ迅速に対処せねばなりません。
- 様々な交渉のなかでも、特に変更に際しての交渉は重要です。
|
2. 変更の種類
- プロジェクトの変更には、(1)顧客の要求に基づく、(2)設計部門の要請による、(3)機材不足に起因する、(4)工事業者の都合による、ものがあります。
- 変更には、内的要因と外的要因があります。前者には、当初計画の不備、リソースの不足、プロセス技術の変化、後者には、悪天候、現地の地理的、政治的、社会的事情や製品市場の変化があります。
- 変更には、契約範囲内にあるもの、範囲外のもの、範囲にあるかどうか明確でないもの、があり、しかも、当事者によってこの契約範囲の解釈が異なることが多い。.
- 赤字で受注した工事や契約時の仕様が不明確な工事(地盤構造など)では、手抜き工事をしたり、追加工事にしたりして利益を生み出す手法があります。初めて付き合う業者や一過性の業者の場合、心しておくことが必要です。
|
3. 変更のサンプル
- 契約調印に1年半を要したプロジェクトがスタートした。頭金も払い込まれ、設計に着手し、納期の長い機器を発注した。ここで、顧客から資金不足を理由にプロジェクトの凍結の申し入れがあった。結果:最終的には頭金で設計費用、機器の解約費用を処理した。解約できない機器は他のプロジェクトに転用した。
- 例年になく雨が多く、土建工事が遅れた。やっと配管工事に着手した所、顧客から溶接部のX線検査を蒸気配管だけでなく高圧の消火配管についても実行するように要求された。結果:遅れは後の工事で取り戻した。X線検査はエンジニアリング会社が費用負担した。
- 工事段階で、工事業者が「追加工事です」と次から次へと請求してきた。費用負担は後日話し合うとの元請の了解をもとに、工期を守るため据え付け工事を完了した。結果:追加費用の交渉に1年を要し、結局、元請、エンジニアリング会社、工事業者間で費用負担をした。
- 工事も終わり、テストランに入った所、一部の機器に設計ミスがあり、その性能が不足していることが判明した。結果:問題の機器を除いて、プラント引渡しを完了した。性能不足の機器は後日、追加して納入した。
|
4. 検討と交渉
- 変更が提案されたら、プロジェクトリーダーや関係者が一堂に会して検討します。
- 提案された変更が、最良のものであるか、代案は他に考えられないか検討します
- 変更によりプロジェクトが大きな影響を受ける場合、「ゼロベースからの見直し」により、本当に必要なものは何か、本当に急ぐものはどれかを考えます。
- 変更がスケジュール、コスト、品質、安全、リソースにどのような影響を及ぼすかを慎重に検討します。
- スケジュールが遅れる場合、遅れを取り戻すにはどうするかについても検討します。
- 変更に伴い発生するすべての費用を積算します。契約書に、工事変更の手順に加えて、各種の工事用の単価表を添付しておくと費用計算や交渉が楽になります。
- 工事業者や機材メーカーの作業が必要な場合、早くから参加してもらい、よく事情を説明して協力を要請します。
|
5. 変更の交渉
- 交渉に際しては、対面して交渉し、相手の話を良く聞き、良い雰囲気で行います。対立は避けねばなりません。
- 相手に対し、すぐに「No!」と言ってはなりません。「Yes, but」の論法に従い、相手を立ててから自分の意見を提案します。
- この工事を行う代わりに、あの工事を止めるとか、後回しにするとかの条件取引も交渉の一手段です。
- 予算に余裕があります(実は水増し?)、工期に余裕がありますと言って相手の要求に従うのは、将来良い結果を招きません。
- 交渉に真に必要なものは双方の信頼です。そのためには常日頃から信頼感を高めるように努力して行く必要があります。約束は守る、誠実に仕事をする。できない場合はその理由を明確、正直に言う、と当たり前のことばかりです。
- 交渉でいろいろあっても、「雨降って地固まる」ことになれば幸せです。双方が譲歩して、かつ有利に解決したと思える交渉が理想的です。
|
6. 変更の実施
- 変更が決定されたら、変更された図面や仕様について直ちに承認を得ます。その後、正式の書類にして関係者全員に配布します。
- 工程やコストに影響する変更は、期日や金額を記載した文書に権限者のサインを入手することを忘れてはなりません。特に、支払い権限者の了解を得ずに、または、口頭で了解を得ただけで、さらに、着工しても良いとの指示を得てから着工しても、あいまいな金額で工事を行えば、支払い時に論争が起きることは避けられません。
- プロジェクトマネージャは、変更がスムーズに実行されているか、古い図面が使われていないか、変更により新たな問題を起こしていないか、follow-upをします。
|
参考: 上田 志雄氏(ティージー情報ネットワーク、技術部 共通基盤グループ マネージャ)
のITproに掲載のレポートから、「変更」についての説明を転記します。
プロジェクト・マネージャの「やってはいけない」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080325/297007/
”管理とは「計画の変更」である。管理は計画が存在するから必要なのである。計画がなければ管理する必要はない。また,計画が完全にその通りにいく場合にも管理する必要はない。
ある計画が存在したときに,その計画を監視し,その計画に影響を与える事象が発生した場合に計画通りに進めるように取り除いたり,必要に応じて計画を変更したりすることを「管理する」と言う。” |