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連絡 プロジェクト・コミュニケーション

コミュニケーションはプロジェクトを進める手段のなかで最も重要性の高いものです。

1. プロジェクトの3過程

  1. 目的や内容を明確にして文書にまとめる (定義する)
  2. 実行するべき業務を、どのようにして、いくらで行うかを決める (計画する)
  3. 実行状況を把握し、状況に応じて何らかの対策を取る (コントロールする)

2. プロジェクトの「コントロール」

  1. プロジェクトの問題を発見する (コミュニケーション)
  2. 問題を解決する (進捗状況の把握とコミュニケーション)

注:プロジェクトの定義、計画でも「コミュニケーション」は大きな役割を果たします。なお、進捗状況の把握については、スケジュール管理PMコスト管理を参照願います。

3. コミュニケーションとは

  1. コミュニケーションの語源はラテン語のcommunico。英語のshare(共有)を意味します。プロジェクトが動き出すと、コミュニケーション(情報の伝達と共有)が問題になります。 「皆の目に見える形で情報を共有する」ことを心がけます。
  2. プロジェクトの進捗状況を知るために情報を集め、プロジェクトを先へ進めるために情報を流し、プロジェクト情報を関係者間で共有し一体化を図ります。メンバーは、コミュニケーションにより、自分の責任を知り、プロジェクトの進捗を知り、関係者と連係し、権限を持つ人の決定に従います。プロジェクトで大事なことは、最適のタイミングで最適の人に最適の情報が伝わることです。
  3. コミュニケーションの前提として、送り手と受け手との間に共通の場、共通する目的が必要です。言葉であれば、その言語が直接、または通訳を介してお互いに理解できる必要があります。プロジェクトの場合、メンバー全員がそのプロジェクトを達成しようとする思いを持つ必要があります。メンバーのなかにそのプロジェクトを潰そうとする人がおれば、コミュニケーションどころかプロジェクトも成立しません。

4. 情報とは

  1. 小野厚夫氏や野口康夫氏の調査(注記)では、「情報」は日本で造られた言葉とのことです。 
  2. 明治の初め、政府はフランスやドイツを教師として日本の軍事組織を作り上げていました。1876(明9)年発行の翻訳軍事書に初めて仏語renseignementの訳語で「情報」が現れたといいます。当時、敵地へ斥候やスパイを派遣して地勢や敵の情勢を調査し、結果を報告していました。 
  3. この「敵状報告」「敵情報告」の真ん中の2字を取り、「状報」「情報」になり、これが、「情報」に統一され、独語nachrichtもinformationも情報に和訳されたといいます。この軍事用語の情報が1930年代から、世間一般に広く使われるようになりました。
  4. 人は、自分に不利なことは報告をぼかし、相手が喜ぶ報告に重点を置きます。また聞く方も悪いニュースには耳をふさぎます。さらに、情報は伝える人や受け取る人の信念、意図、意見が加味されて、人により情報の内容が変ります。
  5. 公開される情報には、人心を操作するための情報、人を惑わすための情報、人を騙すための情報もあります。そこで、他人の情報を利用する際には、それが事実か、意見か、宣伝なのかの判断が必要です。
  6. 一番確実なのは、自ら現場に行って自分の目と耳で情報を確認することです。それができないならば、裏を取るなど各種の情報を分析し総合してから、その信頼性を判断します。人は信頼すべきです。信頼関係がないとプロジェクトは実現できません。だが人は過ちを犯す存在です。人の言うことやることは100%信頼できるとは限りません。それを承知した上で(採択者の責任で)情報を採択します。
  7. 情報は、それ自体には価値はありません。自分のやりたいこと、皆がしたいことに役立てて初めて価値が生じます。自分の夢、ヴィジョンを実現するために情報で肉付けします。
  8. 受け取った情報は、自分だけで抱え込んでいては何にもなりません。、情報を必要とする人達と共有して初めて活用できます。共通の場に情報を開示して創造に役立たせます。ネットワークを通じて積極的に情報を拡散すればまた新情報が集まります。

5. コミュニケーションの能力

  1. プロジェクトリーダーには特に、読み、書き、話す能力や会議をリードし、まとめる能力が要求されます。もちろん、各メンバーにも必要な能力です。これらの能力を学ぶには絶えず、新聞雑誌、専門書、古典などの「読書」、日誌や報告の「作文」、そして会話や会議への「参加」、場に「慣れること」です。
  2. 「話す二倍、人の話を聴け」という言葉があります。リーダーたる者は心すべきことです。嫌な話は特に心して傾聴しなければばなりません。難しい話も結論だけでなくなぜそうなったのか経過を聴きます。
  3. 人の話をよく聴くことにより理解が高まり、質問もできて会話が弾みます。相手に対する質問は具体的にかつ突っ込んだ内容のものとします。質問により相手からより多くの情報を引き出すことができ、相手も自分自身の考えを明確にすることができます。
  4. 「ほうれんそう」すなわち「報告、連絡、相談」は、プロジェクトのコミュニケーションの基本です。「ほうれんそう」は部下から上司へ、上司から部下へ、仲間同士でと、あらゆる方向に行います。自分で考え、判断し、結果をはっきりと表現し、他人の意見も傾聴する。そして人から信頼されるようになって、高いコミュニケーション能力が発揮できます。プロジェクトマネージャの項を参照。

6. コミュニケーションの相手

  1. プロジェクトでコミュニケーションを発する相手は、プロジェクト関係者(stakeholder)です。建設プロジェクトでは
    • お客 : プロジェクトの発注者あるいはプラントの所有者
    • プロジェクトメンバー : プロマネ及び一時的に参加するメンバーも含む
    • 組織のリーダやトップ : プロジェクト管轄部、プロジェクトメンバーの上司及び経営トップ
    • 関係業者 : 設計業者、製作メーカー、工事業者、下請け
    • 地域関係者 : 住民、役所、官庁など。
    • 工事中及び建設後の環境変化を受ける人々
  2. プロジェクトマネージャは特に、自分の上司や組織のトップよりもお客の方を向いていることが大切です。海外で、日本の本社の意向をいつも伺うようでは海外プロジェクトは動きません。
  3. プロジェクトのスピードと正確さを満たすために、上記関係者は全員、パソコンのネットワークに含めることが好ましい。例えば、メーリングリストにより相互の連絡が確実になり、メーリングリスト上の共有フォルダにより情報の共有ができます。

7. コミュニケーションの方法

  1. 伝達したい情報の内容(Volume、重要度、緊急度)と相手によって、最良のコミュニケーション方法を選択します。
  2. 書いたものを渡すか口頭で述べるか、面と向かってするか電話やメールで済ますか、個別にするか多人数をまとめてするか、会議室でするか立ち話ですませるか、資料にまとめておくか原稿なしでするか、ワープロか手書きか、公式の会合か非公式の集まりか。
  3. コミュニケーションに「言葉」は欠かせません。しかし「言葉に寄らない」コミュニケーションが非常に大きな効果を示します。対話、会話、会合などの「face to face」のコミュニケーションでは、話し手の目の動き、顔の表情、身振り、手振り、態度などの行動から、言葉を超えた心、意思、そして情報の伝達が行われます。
  4. 人の話を聞いても聞いた瞬間、その半分しか記憶に残りません。翌日にはさらにその半分を忘れてしまいます。聞く方としては、大事なことはメモに残すこと。話す方としても、同じ話を繰り返すこと、ただし視点を変えて内容に変化を与えることがポイントです。
  5. メールは、相手の都合を考えずに事務的な連絡をするのに適します。ファックスは、画像に加えて微妙な感情も伝えることができます。大事な用件で緊急を要するメールもファックスの場合は、電話で配達を確認する用心が必要です。
  6. 日本語で話していても聞き違いや誤解が生じます。まして外国人相手の場合は書いたもので確認するようにします。電話の場合特に注意します。
  7. それでも、書類、メール、ファックス、電話、多人数相手の会合では、指図するだけで情報の一方通行で終わり勝ちです。
  8. コミュニケーションは心と心の交流とも云えます。双方向性のある対話に勝るものはありません。本当に大事なことは、「会って話す」ように心がけます。しかも「目は心の窓である」、「目は口ほどに物を言う」というように、相手の視線を見ながら話すことによって心の交流ができます。

8. コミュニケーション計画

公式の情報伝達のために、プロジェクト開始時にしっかりしたコミュニケーション計画を立てます。
1. 文書

  • 連絡・報告の書式 : メモや報告書は用紙1枚を原則にし、3項目以内に整理してまとめる。例えば、進捗報告はA4またはB5に、現在の状況、問題点と対策、今後の予定をまとめ、必要なら図表を添付する。メールのタイトルも一目瞭然の書式にする。
  • 資料・図面の伝達ルートや保管方法 : 送達票に受取人、保管者を指定する。配布及び受領の確認方法を考慮する。
  • 変更の連絡・確認方法 : 連番方式により変更の伝達を確認する。

2. 会合

  • 会合の頻度 : 例えば、月に一回の全体会合、週に一回の各グループの会合、毎日一回の現場会合を行う。
  • 会合の通知 : 出席者に期日、時間、場所、議題を連絡する。特に、議題の連絡は忘れないようにする。
  • 会合の進め方 : 開始と終了の時間を守る。司会者は各参加者の意見を引き出す努力をする。議論は曖昧のままに放置せず、結論を出す。問題点リスト(担当者と期限を明記)を作り、次の会議でフォローする。
  • 会議のまとめ : 議事録を作成し、出席者と関係者に配布する。

3. 掲示板

  • 壁新聞方式 : 理想としては、プロジェクト室に資料ファイルや図面箱を装備し、壁には配置図、進捗工程図を掲示する。
  • ウェブ掲示 : パソコン上にウェブ掲示板を掲載するのも効果的。
  • 新規の重要な掲示をした場合は、メンバーにメモで連絡する。

注記:(1) 野口靖夫「情報という言葉と遊ぶ」学士会報2001-1 (2) 小野厚夫「明治9年、情報は産声」日経新聞1990-9-15
参考:このページをまとめるに際し、Eric Verzuh著 ”The Fast Forward MBA in Project Management” を参照した。

追記1:2010年6月15日記載。  「ピーター・ドラッカーの名言」より、http://www.earth-words.net/human/peter-drucker.html
  コミュニケーションで一番大切なことは、相手が口にしていないコトバを聞き分ける力である。

追記2:2010年6月15日記載。  ドラッカーのコミュニケーション論
http://www.all-senmonka.jp/all-senmonkablog/z-kudou/2010/05/post_2.html
 ドラッカーは「コミュニケーションには4つの原理がある」と言う。
1.コミュニケーションを成立させるのは「話し手」ではなく「受け手」であること。
2.人は知りたい、感じたいと期待しているものだけを知覚すること。
3.「話し手」は常に「受け手」に対し何かを要求すること。
4.コミュニケーションと情報は別物であり、依存しあっているということ。

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