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“本格”って何?

◆肩書きが語(騙)るもの

私は“本格折り紙作家”です。

・・・・・。

言うまでもなくこれは私が勝手に造った言葉であり、肩書きは“自称”にすぎません。ここでは、私が“本格”という言葉にこめた意味を説明したいと思うわけですが、とりあえず、“本格”という言葉を辞書で引いてみましょうか。

「根本の規則・格式(を備えていること)」(岩波国語辞典第四版より)。

・・・。うーん、よく分からない。

◆ミステリーとのアナロジー

まず、“本格ミステリー”という言葉がありますね。

“本格ミステリー”とは、社会派、ハードボイルド、サスペンスなど、時代ともに拡散していったミステリーのなかで、あくまで「謎を解く」というをミステリーの根幹に忠実にしている小説のことであると自分は解釈しています。

「よくできた本格ミステリーはハサミが入っていない」とは前川淳さんの指摘であり、そのアナロジーもよく語られるところであります。「手がかりはすべて提示する」「都合のよい偶然を排除する」といった“縛り”のなかで創造されるものが“本格”ミステリーと呼ばれるならば、“不切正方形一枚折り”(一枚の正方形で、切らずに折られているもの)という“縛り”のなかで創造される折り紙を、“本格”折り紙と呼んでもよいのでは、と思うわけです。

ここに一つ、“不切正方形一枚折り”にこだわる創作家である私が、“本格”という言葉にこめた意味があるのです

◆真っ向勝負の理由

野球においては、“本格派投手”という言葉もあります。

“本格派投手”というのは、直球で真っ向勝負するピッチャーですよね。それならば、「兎」「馬」「かぶとむし」といったオーソドックス作品で勝負する私は、“本格”派を自認してもよいのではないでしょうか(ちょっと尊大かしら)。

オーソドックスでケレン味がない。私のこういうスタイルは、とかく狭い世界で完結しがちな折り紙を、もっと多くの人と共有できるものにしたいという気持ちからきています。

だから、誰が見てもわかるもの、外国人が見ても、お年寄りが見ても、子どもが見てもわかるものを折りたいんですよね。だから、ゲームやアニメのキャラ、「○○オオカブト」とか「○○サウルス」とか誰も知らないようなものは意識的に折らないようにしています(たまに“できちゃう”ことはありますが)。

そういった作品は“時代を写す折り紙”として価値化できる部分もあるので、否定するつもりはありません。ただ、それらが時代の風化に耐えられるかというと、そうは思えないのです(これは、その時代の社会風俗をふんだんに盛り込んだ“社会派”ミステリーが、現代においては読むに耐えられない部分があるのと通ずるところがありませんか?)。

チャレンジという意味でも、ありふれた題材に挑戦してオリジナリティを獲得することの意義は大きいと思いますし、そのような作品のほうが時代の風化に耐え、そして多くの人への喚起力を備えるのだと思います。

なんだか脱線したようにもみえますが、そんな大きな意味をこめて“本格折り紙作家”を自称していることをお伝えしたいわけです。

これからも、ケレン味のない、真っ向勝負のピッチングをご覧にいれましょう!

(2003/07/21)