<オロフレ山>
 

   
    アイヌ語で「オロ・フレ」は「火山灰で赤く焼かれた山」という意味を持つ。オロフレ山の 南西側の斜面には、

  赤い地肌をあらわにした崩落を見ることができる。

  峠から山頂までの標高差はおよそ三〇〇メートル、ゆっくり歩いて二時間弱の道のり。登山道脇には多くの花が咲

  き、それらを求めて登山者は年々増加している。

  六月のある日、あまりにも有名になったシラネアオイを保護しようと、行政と民間の連携により登山道に沿ってロ

  ープが張られた。踏みにじられた花たちの悲鳴を聞いての苦肉の処置であった。

   先日はS山岳会が設置した頂上看板の補強作業に参加した。担ぎ上げた新しい支柱を取り替え、ペンキで一新され

  たその前で汗に輝くいい顔で記念の写真に納まった。

  天気もよく、次々と登って来る登山者で山頂はいっぱいになった。五〇人ほどの団体客が帰った後、私たちも目的

  の作業を終えて後に続いた。「あれれ!」と驚いた。登山道はストックで突かれて穴ぼこだらけ。尖った先に保護

    栓を付けていないのだ。

   私が看護師の卵時代、「物品の位置は暗闇の中でも手が届くように、いつも同じ場所にあるように」と教わった。

  例えは異なるが何年後にオロフレ山を訪ねても、そこには必ずシラネアオイやチングルマがあることを願う。かつて
 

  の山頂は薄紫に咲くエゾフウロのじゅうたんであったことを偲びながら。

                                     (登別嶝友会会員  神原照子)
 

   平成18年 7月14日 北海道新聞 みさき 掲載分(第4回)     

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