「掘り起こしジャーナリズムの火を消さないで」

テレビ朝日報道番組「ザ・スクープ」存続を求める会設立について

2002.7.31

 7月2日の東京新聞朝刊コラムで、石井彰氏がテレビ朝日報道番組「ザ・スクープ」の9月末打ち切り問題を取り上げられ、続いて「ザ・スクープ」キャスターの長野智子さんが7月13日の毎日新聞夕刊コラムで、「現場主義を貫いた番組が終わる」と題し視聴者からの惜しむ声が多いこと明らかにされました。このあと、いくつかの新聞などでも取り上げられ、放送打ち切り問題が一気に表面化しました。
 しかし、圧巻とも言えるのは、同じ「ザ・スクープ」のプロデューサー、原一郎氏自身が、番組ホームページ(http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/)で、1989年から13年間続いたこの報道番組の放送打ち切りに言及されていることです。
 番組プロデューサー自身が、こういったアクションを起すことは、極めて異例なことですが、調査報道、検証ドキュメンタリー番組として、一定の評価を得てきた「ザ・スクープ」を、なぜ打ち切りにする必要があるのか、という切々たる訴えが伝わってくるものでした。
 そして、7月26日の放送で、ついに、メインキャスターの鳥越俊太郎さん自身が番組冒頭で、打ち切りが事実であることを視聴者に正式に伝え、番組終了までの10回について、カウントダウンの形で締めくくりの問題提起型の番組展開を行なうことを明らかにされました。
 番組自体が、打ち切りになることは、実に、残念なことです。
 テレビ朝日からは、公式コメントがないために、放送打ち切りの理由は全く不明ですが、「低視聴率」や「経費節減」など経営の都合が、理由のように見受けられます。
 ところで、この番組は、プロデューサーの原一郎氏が指摘されているとおり、新聞記者出身のキャスター、鳥越俊太郎氏を始めとする番組スタッフの鋭い時代感覚でつくられてきました。特に、庶民の立場にたって権力に対峙する報道姿勢を貫くと同時に、調査報道によるニュースの掘り起こしや事実の検証を行なってきたことは、極めて重要です。
 その成果を最近の事例で申し上げれば、桶川ストーカー殺人事件でしょう。
 週刊誌メディアが興味本位に取り上げ、新聞も片隅に追いやった事件を、現場での丹念な再取材から次第に警察当局の捜査ミスを明らかにし、政治もストーカー取締り法を立法化するまでに至りました。
 「ザ・スクープ」が掘り起こしジャーナリズムという観点から地道な調査報道を行なわなければ、この事件は封印されたままに終わっていたかもしれません。
 これ以外にも、「ザ・スクープ」が番組で取り上げ反響を呼んだものは数え切れず、13年間にわたる足跡は、しっかりと残っています。
 実は、この「ザ・スクープ」と同じような問題が今年3月、米国3大ネットワーク、ABCの報道番組「ナイトライン」でも起きています。視聴率低下を理由に、キャスターのテッド・コッペル氏が番組を更迭されるという問題でした。
 ところが、ABCの一方的な更迭に対し、米国世論が非難し、コッペル氏を擁護しました。そして、良質な報道番組をなくしてはならないという声に、ABC経営陣も耳を傾けざるを得ず、結果的に、当初の決定は撤回されました。
 そこで、こういったことを踏まえ、「ザ・スクープ」番組に愛着を持つ視聴者はじめ、これまで番組に出演された方々、さらに番組制作にあたって取材を受けた関係者らがこの際、安きに流れるテレビジャーナリズムのあり方を問うと同時に、番組自体の存続を求めることが必要と判断し、テレビ朝日報道番組「ザ・スクープ」存続を求める会を立ち上げることにしました。
 民放のテレビ番組について、テレビ会社に対して、存続を求めると同時に、視聴者への説明責任を求めるといった「運動」は、これまでなかったことですが、視聴者の声が反映することも重要と考えました。
 われわれはいま、会合の趣旨にご賛同いただける方々に働きかけを始めたばかりですが、この機会に、ホームページも立ち上げ、多くの視聴者の方々にも参加いただき、視聴者の「声なき声」がテレビ会社に届くように、さまざまなアクションを起こしていきたいと考えています。
 ぜひご賛同いただけることを願っています。

発起人世話人 弁護士・藤田謹也
(東京都港区赤坂2丁目2番21号 永田町法曹ビル506号室)