針治療における効果の仕組みと特性


針灸治療はどのように効くの?



当院では、治療を受けた当日よりも、翌日、翌々日に

悪いものがスーと抜けていくように身体が軽くなって、症状が解消した・・・

このような報告をよくいただきます。

また、経験的に、

治療直後よりも翌日、翌々日の状態が更に良くなっているようであれば、

その効果が長続きしやすいという印象も持っております。


針灸治療の効果は

私達の身体に本来備わっている『調整力・回復力』が引き出されることによって発現します。


すなわち

針や灸などの手段を用いた「治療」は、

回復力・調整力を引き出す『きっかけ』であり、

痛みが取れる、症状が改善する、身体が楽になるなどの「効果」は

「治療」によって引き出された調整力・回復力が、働いた『結果』得られるものです。


では具体的に、その回復力・調整力が、どのように働くのかと言いますと、

その作用のメカニズムは単一ではなく、

人体に本来備わっている機能が、複数に関連して、治療効果を引き出していると考えられます。


但し、一概に「針灸治療」と言いましても、

まず「針治療」と「灸治療」では、効果出現の仕組みに違いがあります。


また、「針治療」に限定した場合でも、

治療者の属する流派や考え方、治療の進め方などによって

効果出現の仕組みは大きく異なる場合がほとんどである

と言っても過言ではありません。


ですから

「身体に本来備わる回復力・調整力を引き出す」

という治療作用の仕組みは

針治療、灸治療、流派、治療者個人の考え方・やり方など、

すべてに共通する『最大公約数』として、理解していただければよいと思います。


その上で、

当院における「針治療」効果出現の仕組みについて、

その解釈を説明をしてみたいと思います。


@針治療の効果:血行の改善


針治療は、簡単に言えば身体に微細な「キズ」を付ける治療法です。

ですが、治療には極めて細い針を用いていますので、

実際にはその傷口は、わずかに確認できるかどうかという程度の微細な「キズ」です。


その「キズ」は主に皮膚、筋肉などの組織に付けられ、

治療を受ける人の状態によって体表面からの深度が決定されます。


傷が浅ければ皮膚部分のみに「キズ」が付けられ、

皮膚組織を超えた場合には主に筋肉組織に微細な「キズ」を付けることになります。


身体は組織の一部が損傷した場合、すなわち身体のどこかが「キズ付いた」場合、

それを修復させるための反応を活発にして

キズの付いた部分が元の状態に戻るような働きをします。


その際、一連の修復反応に関連して、周辺の血流が促進されるなど、

キズの付いた組織が、修復されやすい環境が整えられます。



例えば、コリや痛みの原因となる筋肉の疲労などは、

血行の不良によって慢性化している場合が多いため、

それを改善させるためには、まず血行を改善させることが有効です。


針によるキズの修復過程で、ツボ周辺の血行が促進されれば、

血行不良によって慢性化していた筋肉疲労などが改善され、

コリや痛みが楽になることが考えられます。


ひとつの「キズ」で、どの程度の範囲の血行が改善されるかは

個人の体質や状態によって異なります。

また、
適切なツボに針を刺すことで、全身的な血行が促される場合もあります。


従って、基本的には

針を刺す→血行が良くなる→悪い状態が改善される

という流れで理解しておけばよいと思います。(極論なのですが)


そうなりますと、
「血行を良くするだけなら運動をしたり、お風呂に入っても血行良くなるわけだし、

それなら、わざわざ針を刺さなくてもいいのでは?」

との疑問が湧いてくるかもしれません。

ごもっともなご意見です。

ですので、これに関して針治療の特に優れている点を二つ挙げて説明してみましょう。


まず、一つ目は
悪いポイント【=ツボ】に針を刺すということです。

悪いポイントに針を刺すということは、悪い場所の血行を集中して改善できるということです。

また、針の深さを調整することで、

血行の悪くなりやすい深部の状態を集中して改善させることもできます。


次に、二つ目は、

針によるキズが修復されるまでの間、血流改善などの治療作用が持続する点です。

個人差はあるものの、経験上、平均2〜3日は持続するものと考えております。

よく、針治療を受けた直後よりも、

翌日〜3日後の方が症状が楽になったのを実感できるという報告をいただきます。

それは血流改善などの、治療後の反応を受け、

身体の状態が1〜2日かけて調えられていったからだと考えられます。


また、例えばお風呂で温まって血行を良くした場合の効果は一時的なものになりやすいのですが、

針治療の場合、最終的には自分自身の力で血行が改善した結果、効果が出現するので、

針によるキズが修復され、直接的な治療反応はストップしても、

その効果は持続しやすいという特徴があります。

ですので、針治療は効果の持続と再発の予防に優れた方法であると考えております。


A針治療の反射的な効果


ですが、少なくとも1〜2日の時間が経過しなければ

針治療の効果はまったく現れないのかと言いますと、そうではありません。


治療が終わって、その場で症状がすっかり解消されてしまうこともありますし、

少なくともある程度軽減されていることがほとんどです。

その場合、

針の刺激が神経を介して脊髄や脳(神経中枢)に伝わり、

脳や脊髄からの反射的な指令によって、

筋肉の緊張状態などに変化が生じるのでは(?)と考えられます。


ただし、必ずしもその反射が針の「痛み」によって引き起こされるとは限らず、

ほとんど痛みを感じない様な針の刺し方でも、

何らかの形で刺激が伝えられ、反射的な作用が生じるというのが、私の経験的な考えです。


治療によってこの反射的な作用を引き出すことができた場合、

治療直後の感じは良好に思えるのですが、

場合によっては2〜3日後には元の治療前の状態に戻ってしまうこともあります。


これは先に説明した針治療による血流改善の作用が十分に働かず、

筋肉疲労などの実体部の回復が不十分に終わったことが、理由として考えられます。


従って、治療をした部位の軽快感など、治療直後の状態・感覚も重要ですが、

継続した治療効果を望むなら、やはり治療翌日〜3日後位の状態を重視した方が良いと思います。



Bその他のメカニズム

針治療効果のメカニズムはその他、

自律神経、免疫、内分泌、脳内環境など、それぞれに対する調整作用が挙げられますが、

ここでは紹介のみにとどめたいと思います。


C結論

針治療とは、

「身体上の悪い場所もしくはそれに関連する場所(ツボ)に針を刺し目印をつけて、

身体にそれを認識させ、様々な機能を発動させた結果、

身体をよりよい状態に近づける行為」

と定義付けてもよいと思います。