◎高脂血症とは…
高脂血症とは,血液中の総コレステロールが 220 以上か,14 時間以上絶食しても中性脂肪(トリグリセライド)が 150 以下にならない場合,あるいはその両方の状態をさします.高コレステロール血症と高トリグリセライド血症に分けて考えた方がわかりやすいかも知れません.また,良い役割をするコレステロール(HDL-C)が少ない状態を低 HDL-C 血症と呼び,高脂血症に含めることがあります.
◎高コレステロール血症があると…
高コレステロール血症がなぜいけないかと言いますと,冠動脈疾患の危険因子だからです.冠動脈というのは,心臓を取り巻いて,心臓の壁の筋肉に血液を送っている血管です.この冠動脈が細くなったり固くなったりして,心臓の壁に十分な血液が送れなくなる病気を冠動脈疾患といいます.虚血性心疾患と呼ぶこともあります.心筋梗塞や狭心症が含まれます.
血液中の脂肪分は,アポ蛋白というタンパク質にコレステロールと中性脂肪,その他がくっついてリポ蛋白という脂肪のかたまりになって流れています.肝臓から脂肪を送り出すときの形が LDL というリポ蛋白です.
この LDL に活性酸素がはたらき酸化させてしまうと酸化(変性)LDL になります.この酸化(変性) LDL はマクロファージという,体の中のいらないものを食べてくれる細胞に取り込まれますが,食べたマクロファージは泡沫細胞となって動脈の壁に潜り込み,もっぱら酸化(変性)LDL ばかりを食べるようになります.これが,動脈硬化の始まりです.
この泡沫細胞はいろいろな物質を放出し,動脈の壁の細胞も泡沫細胞に変化してしまいます.この泡沫細胞が集まったところは粥腫−プラーク−と呼ばれます.動脈の壁の一部がふくれあがってくるのですから,当然血管の中は狭くなります.
血管がある程度細くなると,血液の流れが悪くなりますから,そこから先に十分な血液を送れません.走ったときなど全身に血液がたくさん必要なときは,心臓もそれに見合うだけの血液を送り出さなければなりません.そのとき心臓の壁に血液を送る血管が細くなっていたら,心臓の壁は酸素不足のまま働かなければなりません.
酸素の乏しい状態では,乳酸代謝という普段と違う代謝によってエネルギーを取り出すのですが,それは普段の代謝より効率が悪く,乳酸という酸性の物質がでてきます.これが溜まると痛みを生じるのです.これが狭心症の起こるしくみです.
また,プラークの中には脂肪の他,血液を固まりやすくする物質がつまっています.プラークが破れると,そこで血の塊―血栓―ができ,その血管の向こうには一滴の血液も行かなくなってしまいます.その結果,心臓の一部の筋肉が死んでしまいます.これが心筋梗塞です.
つまるところ,コレステロールが高いと狭心症や心筋梗塞になりやすくなります.逆にコレステロールを下げると狭心症や心筋梗塞になる確率を減らすことができます.
◎高トリグリセライド血症があると…
高トリグリセライド血症のある人は,様々な代謝異常(糖尿病や低 HDL 血症など)を合併しているので,高トリグリセライド血症があるだけで,動脈硬化が進むかどうかを決めるのは難しいのですが,いろんな人が研究を続けています.1985 年より最近では,高トリグリセライド血症だけで,動脈硬化が進むという報告が多くなっています.実際には合併する異常とあわせてみていく必要があります.
血液には固まりやすいという性質があります.実は,小さな血の塊は血液の流れの中にいつもできていて,プラスミノーゲンアクチベーターによって溶かされています.そのままでは出血したときに血が止まりませんから,これをじゃまする物質―プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター―というものも体に備わっています.
中性脂肪(トリグリセライド)の高いヒトの中にはレムナントというリポ蛋白の高いヒトがいて,このレムナントは,先のプラスミノーゲンアクチベーターインヒビターの一つ,PAI-1 と形が似ていて血の塊を作る方に働くのです.
ということは,中性脂肪(トリグリセライド)の高いヒトの中には,血の塊ができやすいヒトがいる,ということになります.血の塊ができて起きる病気をまとめて血栓症と呼びます.血の塊がどこでできるかによって,起きてくる病気は変わりますが,脳で起きれば脳梗塞,冠動脈で起きれば心筋梗塞,ということになります.
また,レムナントは酸化変性を受けなくても,マクロファージに取り込まれて泡沫細胞を形成するので,動脈硬化を促進させます.最近では,食後高脂血症として認められるレムナントでも動脈硬化を起こすという報告もあります.
高トリグセライド血症を治療すると,以前に冠動脈疾患をおこした人の再発率は低くなります.まだ何もおこしてない人の治療については,冠動脈疾患や心臓死は減るのですが,トリグリセライドが下がったためなのか HDL-C が増えたためなのか,LDL-C が下がったためなのか,判断が難しいようです.
基本的には体質によるものです.そして,体質に合わないものを食べていることが原因となっています.
私たち日本人は,米を主食として,魚を好み,肉をあまり食べませんでした.ところが,この 100 年 50 年のうちに,アメリカ人と同じようなものを食べるようになりました.それで,体がついて来られないのです.
だからといって,米と漬け物ばかり食べるのも感心できません.日本では,結核で死ぬ人,脳出血をおこす人,胃ガンで死ぬ人がずいぶん減りました.これには,栄養が良くなったこと,高蛋白食・高脂肪食が食べられるようになったこと,塩分の摂取量が減ったことが大きく関係しています.
そのうち,脂肪分の摂取量がわずかばかり多くなりかけているのです.厚生省では食事中の脂肪分から得るエネルギーの割合は 20〜25 %が好ましい,としています.ところが,現在の日本人の平均は 26 %となっています.
ただし,高脂血症を起こす人の中には,他の病気が原因となって高脂血症を起こしている人もいます.糖尿病と甲状腺機能低下症が,高脂血症を引き起こす病気の代表です.高脂血症の治療を始める前に,糖尿病や甲状腺機能低下症がないか,調べておく必要があります.
去年 6 月,日本動脈硬化学会は新しい診療ガイドライン(案)を発表しました.これは国内初の血清脂質に関する大規模研究(Japan Lipid
Intervention Trial;J-LIT)を根拠とするものです.新しい診療ガイドライン案を示します.
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新ガイドライン案値 |
現行値 |
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総コレステロール(TC) |
高TC血症 |
≧240 |
≧220 |
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境界域高TC血症 |
≧220 |
≧200 |
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LDL-コレステロール(LDL-C) |
高LDL-C 血症 |
≧160 |
≧140 |
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境界域高LDL-C 血症 |
≧140 |
≧120 |
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HDL-コレステロール(HDL-C) |
低HDL-C 血症 |
<40 |
<40 |
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中性脂肪(TG) |
高 TG 血症 |
≧150 |
≧150 |
また,患者さんが合併しているほかの危険因子についてのカテゴリー分けも以下のように改められました.
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患者カテゴリー |
相対リスク |
TC |
LDL-C |
HDL-C |
TG |
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A |
冠危険因子*無し |
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<240 |
<160 |
≧40 (高い ほど 良い) |
<150 |
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B1 |
糖尿病以外の冠危険因子が一つ |
1倍 |
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B2 |
糖尿病,または糖尿病以外の 冠危険因子が二つ |
3倍 |
<200 |
<120 |
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B3 |
糖尿病と他の冠危険因子が一つ,糖尿病以外の冠危険因子三つ |
6倍 |
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B4 |
糖尿病を含む冠危険因子が三つ 以上 |
12倍 |
<180 |
<100 |
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C |
冠動脈疾患の既往歴 |
24倍 |
高脂血症以外の冠危険因子:年齢(男性≧45歳以上,女性≧55歳以上),高血圧,糖尿病,喫煙
現在のところ(案)の段階ですが,高コレステロール血症に対する薬物治療の適応を減らすことになるのは間違いありません.雑誌などを読みますと,これまでコレステロールが低かったので,今になって高くなっても動脈硬化がそんなに進むわけではない,としています.
中性脂肪については,今のところ,明確なガイドラインは出ていません.
◎高脂血症の治療法は…
高脂血症の治療は,食事療法,運動療法,薬物療法からなります.
食事療法は治療の基本です.ただし,食事療法の効果は病態によって様々で,総合すると 5-10 %とのことです.それでも,やってみないとわからないわけですから,高脂血症の人には,まず,食事療法を勧めることになります.しかし,思わぬ穴がありますので,栄養指導が必要です.
運動療法も大切です.しかし,高脂血症が狭心症・心筋梗塞を引き起こす可能性があるために,誰でもできるというわけではありません.心臓に無理のない,安全に実行できる運動療法のためには,運動療法も指導を受けたほうがよいでしょう.
これら 2 つのことをやっても,コレステロール・トリグリセライドが目標値まで下がってこなければ,薬物療法を行います.また,非常に LDL-コレステロール値が高い場合,血漿交換という血液透析に似た治療を行う場合もあります.
また,高脂血症と言っても,高コレステロール血症,高トリグリセライド血症,低 HDL
血症とあり,基本は同じでも微妙に違います.
1.食事量(総摂取エネルギー量,総熱量)
これは高脂血症に共通する治療です.
総エネルギー量は,標準体重 × 25〜30 kcal/day を目安としてください.ただし,よく歩く人や肉体労働・スポーツなどをする場合,エネルギー量を多くする必要があります.
2.脂肪分摂取量
これは,高コレステロール血症と高トリグリセライド血症に共通する治療です.ですが,低 HDL
血漿の人には勧めません.
もともと日本人は油の多いものをあまり食べず,摂取エネルギー量のうち,脂肪分の割合は 10 %以下でした(昭和 20 年代まで).戦後,急速に食文化の西欧化が進み,現在では 26 % になっています(平成 7 年度).欧米諸国では,35〜40
%のところが多いので,まだまだ,と言えなくもありませんが,20〜25 %が望ましい,とされています.
3.脂肪の質
これは,高脂血症に共通した治療です.
植物性の油が好ましい,いや魚の方が…,とか聞いたことはありませんか?少し,ややこしくなりますので,表で説明しましょう.
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飽和脂肪酸(S) |
動物性脂肪に多く含まれる |
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パルミチン酸 |
コレステロールを上昇させる |
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ステアリン酸 |
吸収されにくく,オレイン酸に変換されるため, コレステロールを上昇させない |
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一価不飽和脂肪酸(M) |
オリーブ油・アボガドに多く含まれる |
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オレイン酸 |
LDL コレステロールを低下させ, HDL コレステロールは低下させない |
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多価不飽和脂肪酸(P) |
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n-6 系 |
植物油に多く含まれる |
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リノール酸 |
LDL コレステロールを低下させるが, HDL コレステロールも低下させる |
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n-3 系 |
魚に多く含まれる |
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EPA |
コレステロールよりも 中性脂肪(トリグリセライド)を低下させる |
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第 6 次改訂では,S:M:P の比を 3:4:3 に,n-3:n-6 の比を
1:4 にすることが望ましいとされています.最近では S:M:P の比を1:1.5:1 とした文献も見受けられます.これまでの食事と比べると,オリーブ油を増やさなければならないでしょう.また,思ったより,魚の脂肪が少なく扱われています(総脂肪の
6 %).また,魚といっても丸干し・シラス干しなどは,コレステロールの含有量が多いので注意しましょう.
4.コレステロール摂取量
これは,高コレステロール血症と高トリグリセライド血症の治療法です.低 HDL
血漿の人には勧めません.
コレステロールの摂取量は 1 日 300 mg までとします.ただしこれは,コレステロールをとる量を減らして,血中コレステロールの下がる人の場合で,そうでない人(コレステロールをとる量を減らしても血中コレステロールが下がらない人)の場合あまり神経質になる必要はない,とのことです.だからといって,いくら食べてもよいわけではありません.
コレステロール 300 mg というと,だいたい,卵の黄身 1個分(正確には
250 mg),タラコ 1 腹(正確には 200 mg)だと思っていてください.
5.タンパク質
これは,高脂血症との治療と言うより,動脈硬化予防のための食事療法になります.
動脈硬化予防のためには,タンパク質を多めにとった方がよいのですが,肉では動物性脂肪もとることになってしまいます.大豆タンパク・魚タンパクということになります.大豆タンパクは胆汁酸の再吸収を抑制してコレステロールを低下させます.魚タンパクには
HDL コレステロールを増加させる作用と LDL の酸化を防ぐ作用があります.
6.食物繊維
これは,高コレステロール血症の人に勧める治療となります.
食物繊維には,水溶性(水に溶ける)のものと不溶性(水に溶けない)のものとがあります.繊維という言葉から連想されるのは,不溶性のセルロース,ヘミセロースですが,コレステロールを低下させる作用が強いのは水溶性のペクチン,マンナンなどです.このうちマンナンはこんにゃくの主成分です.
7.抗酸化物
これは高コレステロール血症,とくに高 LDL 血症の人に勧められます.ですが,他の人もして良いのではないかと考えています.
LDL は酸化されて変性 LDL となり,動脈の壁に潜り込んで,動脈硬化の原因となります.ですから,LDL の酸化を防げば,動脈硬化を予防できるのではないか,と考えられています.
ビタミン E,ビタミン C,β-カロチン,フラボノイドに加えて,ポリフェノールが注目されています.ポリフェノールの摂取量によって,虚血性心疾患の発症率が違う,と言う報告があります.ですが,どの程度のポリフェノールが必要か,まだわかっていません.
8.アルコール
これは,高トリグリセライド血症の治療になります.
しかし,適量のアルコール摂取が動脈硬化を防ぐことも報告されています.これまでは,アルコールの摂取で
HDL が増えることがその主な機序と考えられていましたが,アルコール飲料には様々なポリフェノールが含まれていることから,それが良い作用を及ぼしている可能性も指摘されています.
9.喫煙
これは,高脂血症に限らず,動脈硬化予防のために勧めます.
たばこを吸うと,心臓の病気を起こしやすいことは以前から知られていました.低酸素血症による心負荷や,ニコチンが冠動脈を攣縮させることが指摘されていましたが,最近では
HDL コレステロールを低下させる作用,さらに LDL を酸化させる作用が報告されています.禁煙するだけで LDL の抗酸化能は 2 倍になるということですので,喫煙の影響は無視できません.
食事療法のまとめ
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高コレステロール血症 |
摂取エネルギーの制限(25-30 kcal/kg×標準体重) 脂肪摂取量の制限(摂取エネルギーの20-25 %) コレステロール 1 日 摂取量制限(300 mg/日 以下) 脂肪酸組成の適正化 P:M:S 比=1:1.5:1 一価不飽和脂肪酸および,n-3 系多価不飽和脂肪酸を増やす 食物繊維の摂取増加(20-30 g 以上) 抗酸化物質の摂取 |
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高トリグリセライド血症 |
摂取エネルギーの制限(25-30 kcal/kg×標準体重) 脂肪摂取量の制限(摂取エネルギーの20-25 %) コレステロール 1 日 摂取量制限(300 mg/日 以下) 脂肪酸組成の適正化 P:M:S 比=1:1.5:1 アルコール摂取制限 砂糖および果糖などの糖質摂取制限 |
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低 HDL 血症 |
摂取エネルギーの制限(25-30 kcal/kg×標準体重) 脂肪酸組成の適正化 P:M:S 比=1:1.5:1 特に n-3 系多価不飽和脂肪酸を増やす 砂糖および果糖などの糖質摂取制限 |
高脂血症でなくても,運動した方が体に良さそうだ,と誰でも思います.運動すると余分な脂肪を燃やすことができ,肥満が解消され,耐糖能が上がり,太りにくい体質になります.が,実行するには少しばかりのコツと強い意志が必要です.
一つには,長く続けられるような運動をしないといけない,ということです.
瞬発的な運動(45 秒未満)では,血液中の ATP を分解してエネルギーを取り出します.8 分以下の運動では,糖分を分解して ATP にしながらエネルギーを取り出します.8
分以上の運動で初めて脂肪酸が焦性ブドウ酸に酸化されて ATP を取り出せます.
トリグリセライドを分解すると脂肪酸を取り出すことができますが,脂肪酸自体も血中に流れています.運動によって血中や体脂肪中のトリグリセライドが使われるのは, 20 分以上とも 30 分以上とも言われています.
また,運動を続けていると,脂肪の利用率が高くなります.これは,長時間の持久運動の方がそうなりやすく,瞬間的な運動を繰り返してもそうはなりません.運動することにより,脂肪酸の酸化能力が高まるためです.
ところで,運動中には体の中で活性酸素が多く発生します.これを処理する働きも体には備わっています.トレーニングやビタミン E によってその働きがよくなります.ところが,ある日突然エイッとばかりに運動しますと,活性酸素を処理しきれずに過酸化脂質を増やしてしまうことになります
高脂血症の薬にはいろいろ種類がありますが,大きく HMG-CoA 還元酵素剤(スタチン系薬剤),陰イオン交換樹脂,プロブコール,クロフィブレート系薬剤,ニコチン酸製剤に分けられます.
○HMG-CoA 還元酵素剤(スタチン系薬剤)
メバロチンに代表される薬です.肝臓でコレステロールが作られるのを防ぐため,肝臓の LDL-C の取り込みを促進し,血液中の LDL-C が下がります.トリグリセライドも少し下がり,HDL-C も上がります.
副作用としては,肝逸脱酵素の上昇,筋肉痛,腎機能障害があります.
この系統の薬は,服んでいるとたとえコレステロールの値が下がらなくても,心血管イベント(心筋梗塞・狭心症・脳梗塞などの発症)を起こしにくくすることが確かめられています.
○陰イオン交換樹脂
クエストランに代表される薬です.小腸で胆汁酸と結合し,コレステロールの再吸収をじゃますることで,肝臓の中のコレステロールが減り,血液中の
LDL-C を下げます.
体に吸収されないので,基本的には副作用はありません.が,場合により,トリグリセライドが上がること,量が多く服みにくいこと,ビタミンや他の薬の吸収をじゃまする可能性があることがあげられます.現在は作られておらず,コレバインという量も少なくて,水に溶かさなくてもすむ薬に取って代わられたようです.
○プロブコール
抗酸化作用を持ち黄色腫を退縮させるため非常に期待された薬ですが,最近の調査では心血管イベント(心筋梗塞・狭心症・脳梗塞などの発症)を減らさないとされています.
副作用として心電図上の QT 延長があげられます.
○クロフィブレート系薬剤
ベザトール
SR がその代表です.VLDL
の合成を抑制し,トリグリセライドを下げます.
副作用としては,肝機能障害,胆石形成,筋肉痛などがあります.
○ニコチン酸製剤
基本的にはビタミン剤なのですが,ビタミン
E と結合させたものがユベラニコチネートとして広く使われています.主に高トリグリセライド血症に用います.(大量投与すれば血液中コレステロールも低下するのですが,胃腸障害や顔面紅潮などの副作用のため,他の薬を使うことが多い)
特にLp(a)を下げることができます.
○その他
他にも,エパデールなど,抗血小板作用を持ちながら,中性脂肪を下げるという薬もあります.