朱雀正道 homepage sujaku ぼくは、きょう、こんなことをおもうんだ。





 

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もうずいぶん昔のことだけど、正月明けの教育テレビで、

村上信夫さんがオムレツの作り方を教えておられて。

それがいかにも楽しげで、あまりにも簡単そうにお話しされていたので、

いくらなんでも、まさか、そんなに簡単なわけないだろう、とぼくは疑った。

もともと卵料理を食べるのは好きだったからね。



で、番組が終わってから、ぼくは、じぶんがどう失敗するか、

同時に、番組がいったいどのくらい「オムレツ作りの真実を歪めているか」

それを、じぶんで証明してやろうと、腹黒い心で、台所に立ったのだった。

さいわい冷蔵庫に卵もあった。



ぼくは番組のとうりにやってみた。

ボールに卵をふたつ割り入れ、フォークで混ぜ

(先が4つに割れているからよく混ざるのだ)、

混ぜたフォークの先を塩壺にちょいとつっこみ、

で、また混ぜる。じゅうぶんにフライパンを熱し、サラダオイルを加え、

(あの頃、バタは悪役みたいに言われてたから、気をつかわれたんだろう)、

溶き卵を流し込む。火は強火。

フライパンを斜めにして、素早くフォークでかき回す。卵にこまやかな層が出来ていく。

で、頃合いを見計らって、

フライパンを持った左手の手首のところを、握った右手で、「とんッ!」と叩くと、

フライパンのなかで、卵がジャンプ! で、卵が裏表になれば、もうしばらくだ。

皿をフライパンのところへ持ってきて、そのまま移すようにすると、

あ。できているじゃないか! 



卵の黄色は眼にもいかにもやわらかく、きれいで。食べてみると、とろ〜ん、と、

なかの半熟卵がとろけて。うまかったよ。すごく、うまかったんだ。

あ。こんなに簡単にできるのなら、もっといろんなオムレツを作ってみたい。

もっとこまやかな層のできたオムレツを作ってみたい。と、

まず、18センチのフライパンを買ってきて。そして、

タマゴにパセリだのバジルだのを卵に混ぜ込んでみたり、

アボカドを混ぜ込んでみたり、

タマネギとトマトでソースを作ってオムレツの上にかけてみたりした。

1年間、ぼくはオムレツを毎朝作って食べた。

(そうそう、中央公論社の『暮らしの設計』版『村上信夫の卵料理』を買って)。



ぼくのオムレツ・イヤーは、またたくまに過ぎ去った。

そして、何年もたった。

あれは、いったい、なんだったんだろう、と、いまでも、たまにおもうことがある。

おもえばぼくは、オムレツをどんどん知り、作り、

探求するプロセスそのもののなかに、じぶんが

どんどんはまりこんでいくことが、すごく、すごくエキサイティングだったんだ。

この頃、このホームページを作りながら、そんなことをおもいだした。



いまでも、オムレツはときどき作る。休みの日の朝とか。機嫌のいい、お昼とかに。











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