褥創はラップ療法!!             足立東部病院ンデックスページ

 

ではラップ療法とは?

 

ラップ療法とは、「傷を消毒しない、抗菌薬を使わない、閉鎖しない、ガーゼを使わない、ドライドレッシング(ユーパスタ、カデックス)を使わない褥創の局所療法」です。簡単、効果的、痛みなし、看護がシンプル、介護家族の負担減と嘘のようにいいこと尽くめです。

以下に詳しく方法等書きます。興味のある方はどうぞ先へ進んでください。

ちなみにラップ(wrap)とは「包む」という意味で、市販されている「クレラップ、サランラップ」の意味ではありません。なので、穴の開いている台所用の三角コーナーのゴミ袋でも滲出液が多い時期では使用できます。

又、ラップは被覆材の選択枝の1つです。何でもかんでもラップではなく、創の状態を見ながら臨機応変に創傷被覆材を使い分けていけるようにまとめていきます。

ラップ療法手順・ポイント

 

・乾燥した壊死組織が創を塞いでいる褥創では、そのままではラップ療法は無効です。

ラップ療法には滲出液が不可欠だからです。壊死組織を浸軟させるため、少量のワセリンを塗布してラップで被い不織布テープで固定します。

周囲皮膚が白く浸軟する場合はつけすぎです。

浸軟 ・       浸軟とは、水分が長時間皮膚に触れることで起こる状態で、いわゆるふやけた状態です。

某病院でのラップ療法での浸軟は168症例、230ヶ所の褥瘡で、踵部42ヶ所中15ヶ所

35、7%、その他の部位188ヶ所では1ヶ所0,5%でした。

踵部で浸軟が多いのは、角化層が他の部位と比べて非常に厚いため水分をどんどん吸い取った結果だと考えられています。

浸軟対策としては、穴あきビニール袋を創に被せ、その上に尿とりパットを当てるなり、ハイドロサイトをじかに当てることです。

 

 

数日経過後、壊死組織が軟化したら、先生に診てもらい一部切除、又は鉗子で鈍的に開放します。

感染創ではこの処置によりドレナージされます。歯ブラシを使って軟らかい壊死組織を取り除くことは看護師でもできるデブリです。

なお切除は最小限にとどめ、出血した場合は、カルスタット(アルギン酸塩)を当てます。残った壊死組織は後に融解して容易に除去できるようになります。

カルスタット(アルギン酸塩)

      吸水性に富み、大量の滲出液を吸収すると同時に臭いも吸い取ってくれます。

 

感染創では抗生剤の全身投与(注射または経口)をおこないます。抗生剤軟膏の外用はしません。

 

ここから先は軟膏を使用しません。

創部とまわりの皮膚全体を水道水で「水圧をかけずに」洗浄します。

(水圧をかけてしまうと、線維芽細胞、表皮細胞が剥がれてしまいます。又、創面を綿球やガーゼでこすってしまうと、創の表面を被っているフィブリン層を削りとってしまう結果になります。フィブリン層は、創の保護、修復に重要な役割をはたしています。)

 

水道水

      八田なみき病院の大西山大先生が「創を水道水で洗浄したほうが生食よりも傷の治りが早い」

という研究結果を出しました。ラット創傷モデルを使って水道水、生理食塩水の上皮化に及ぼす洗浄効果を調べたところ、上皮化が最も早かったのは水道水で洗浄した群であったそうです。

 

創部全体をラップで被い、不織布テープで固定します。滲出液が多いとラップの周囲に漏出しますが心配要りません。滲出液は紙おむつに吸収されます。浸出液が多く、ラップが剥離したりする場合は一日2〜3回処置してください。

 

失敗と思いがちな事例

@ 滲出液が多くなる

A においがきつい

B 壊死組織が溶けて、どろどろしたアイテルのようなものが出てくる

C デブリードマンしないまま治療したので、膿瘍を形成

 

などありますが、@、Aに関しては治療を始めてしばらくは出ます。しかし感染の徴候ではありません。

一日に2〜3回の処置を繰り返してください。

B、Cに関しては、壊死組織は先生に診てもらい除去してもらいます。アイテルに関しても@、Aと同様に処置を繰り返してください。

 

感染の徴候

1、    紅斑(発赤、赤み)

2、    発熱

3、    悪臭

4、    浮腫

5、    滲出液

6、    痛み

 

ラップ療法は、効果の優れた治療法ではありますが、全身状態が悪かったり、余命が限られている場合には治療に困難をきたします。

 

褥創の重症度に応じた実践的治療

 

T度褥創

 

生食で洗浄した後、マルチフィックスを貼付します。その後は体交をし、創部の悪化、マルチフィックスのずれがないか観察していきます

 

U度褥創

 

表皮にびらんや水疱をきたしている状態です。水疱が破れていないものにはマルチフィックスを直接貼り、注射器で内容量液を吸い出します。水疱は平らになってそのまま治ることが多いです。

水疱が破れてしまったら、大きなものはラップ療法、又はハイドロサイト・コムフィールにします。

 

V〜W度褥創

 

感染を生じ、膿瘍を伴う場合は、鉗子で鈍的に開放して排膿させるか壊死組織の一部を切除した後、ラップ療法を行います。ラップ療法で壊死組織の融解、ポケットのドレナージ、肉芽形成が進みます。抗生剤は全身投与し、抗生剤の外用はしません。ポケットにはガーゼをつめてはいけません。

 

 

ポイント

消毒・軟膏は絶対使用しない!

 

消毒薬は要は細菌(細胞)を殺す「毒」であって、それは人間の正常な細胞に対しても毒性があります。

傷を消毒するということは、傷を治そうと活躍している人間の細胞をも殺すことになり、かえって傷の治りが遅くなります。

 

創は乾かさない=湿潤状態を保つ

 

創・傷からは、傷を治すために必要な成分が含まれた、創傷治癒に非常に重要な浸出液が出てきています。

そこにガーゼを当ててしまうと、必要な成分が全部吸収され、自然治癒効果をなしません。

そこで、ラップを当てて周りをテープで留めて密封することで傷を常に湿らせた状態にし、人間が持っている自然治癒能力を最大限に活かすことができるというわけです。

 

つまりラップ療法で重要なことは、

@、創部を水道水でよく洗う。

A、消毒・軟膏は使用しない。

B、壊死組織は積極的にデブリードマンする。

 

どうも治りが悪いと思ったら、以下の点をチェックしてみて下さい。

@     適切な体位変換ができていなくて、創面が圧迫されていないか?

A     オムツがきつく巻かれていないか?

B     体位変換が粗雑で、体を傾けるたびにズレの力が生じていないか?

C     肺炎などで全身状態が不良となっていないか?

D     感染のもとである壊死組織がまだ奥にあって十分なドレナージがされていないのではないか?

E     コントロール不良の糖尿病があって血糖値が高いのではないか?

 

・創傷治癒過程は、よく細胞培養にたとえられます。培養液中で細胞が増殖するように、ドレッシング材に閉じこめられた滲出液の中では組織修復に関わる細胞が増殖し肉芽形成が進んで組織欠損が修復され、最後に上皮下により創が閉鎖されます。滲出液の中には、多核白血球、マクロファージ、線維芽細胞、上皮細胞などの細胞成分、免疫グロブリン、蛋白分解酵素が含まれており、細菌感染の防御機構としてはたらいたり、壊死組織を融解して創内を清浄化したりといった機能をはたしていると考えられています。

 

今後の2階での褥瘡処置としては、

@     褥瘡の処置は、外科メインとする。

A     毎週月曜日(祝日の場合は火曜日とする)褥瘡回診・デジカメ撮影

B     週1回のカンファレンス

C     褥瘡のある患者のベットのネームプレートにJシールを貼り、医師を始めとする医療スタッフ間での把握

D     DESIGNを用いての評価(評価用の写真と一緒に)

 

を考えています。

 

 

このラップ療法について詳しくは渡部、藤田Nsまで

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