Vanzandtの魅力

私にとって魅力的なギターの条件を基準にVanzandtを斬る

ネック
Vanzandtのネックはとても手になじみやすくしっくりきます。もちろん塗装によるところもありますが、基本的に弾き込まれたオールドのギターに近い感じです。ネックセレクトができるのも他にはない魅力になっています。ちなみに私のTLVは太ネックにしていますがこれが55年ネックを再現していて他のメーカーでよくある50’SのV、60’Sのカマボコとはまた違った感じでいいんです。またフレットエッジ・ナットの処理などもとても丁寧なので6弦や1弦が弦落ちしやすいなんていうこともなく安心です。加えて更なる進化といっていい「Main Conduct System」採用のネックは明らかに今までのネックと音が違います。旧タイプのネックと比べると「アメリカンな音」とでもいうか、音の芯が強くなって、サスティーンがよくなっています。スペック的にはSTV-2は標準で「ご禁制のハカランダ」を使用しているのも嬉しい仕様だと思います。「Main Conduct System」の仕組みは素人の私にはわかりませんが、外見上から何となく予想できることは、トラスロッドが多少締めこまれているのでこれは、「オールドギターのネックがロッドを締めこんでいってある一定のところで安定して堅くなっているので音が良い」というのをネックを作るときから応用しているのかな?良いギターの条件は@ネックがしっかりしていること、A弾きやすいことこれって重要ですよね。

フレットのエッジ処理は本当に丁寧に施されています。よく弾きやすさ確保のために斜めに処理されたエッジがありますが、個人的にはVanzandtのように球面状?の方がフレットの端まで有効利用できると思います。


パーツ
ナットはオイル付け牛骨、コントロール類はポット・スイッチともUSAパーツ、トレモロに関してもブリッジ駒・ブロックともに鉄製です。配線材・コンデンサーを自分の個性にあったものに変える、ハンダの種類など細かな部分にまでこだわる人以外は標準で高品質なパーツが付属していると考えていいです。個人的には電気系統のパーツより、ピックガードやブリッジ、ぺグ等の材質にこだわった方が音には影響すると思うのですがどうなんでしょうか?

当然、CTS-POT やCRL-SWは標準仕様です。


塗装

当時オールドギターに使われていたものと同じ塗料を使って仕上げられるラッカー塗装は非常に味わいがあるものとなっています。ポリ塗装あるいはラッカー塗装のどちらが良い、悪いということは抜きにして私にとってラッカー塗装は持っておきたくなるギターの重要な部分です。何しろ深みがあり発色がいいのと経年変化で味が出てくるというのが魅力です。私のギターも購入時よりは、塗装が木目にくい込んできていますし、キズ・黄ばみも含めて味?が出てきています。音についてはとにかく塗装が薄いので新品によくある「狭いレンジの中で鳴っているので詰まった感じ」でなくオープンな感じなのが生音でもわかります。あとオーダーを考えている人は、「この本のギターのこの色にして欲しい」なんていうこともできます。ちなみに私の友人はストラト本に載っているLPBを指定して本当にそっくりに仕上がってきました。メタリック系はオールドと同じようにメタリックの粉の成分が多い塗装なので雰囲気抜群ですよ。あと注意点としては、弾き方、使用頻度にもよりますが、ネックサイドとかは3年くらいで塗装がはげてくることもあるのでピカピカを保ちたい人は普段からマメにお手入れをして、大切に扱うことが必要です。


組み込み

ギターの音は「材料の質→木工加工の精度→ギター自体の構造」の順で決定されると私は思っているのですが、Vanzandtに関しては工作精度は非常に高いと思っています。日本人がよく気にする(当然私も)ネックポケットの加工なんかは本当にタイトに仕上がっています。(タイトなのが本当に音に影響するかどうかわかりませんが、見た目の満足感は大きいです)また、ストラトのトレモロのセッティング等も100%とは言わないまでも最初から高いレベルでセッティングされています。色んなセッティングの好みがあると思いますが、Vanzandtは「あまり遊びがなく、しっかりした鳴り」を目的に組み込まれている印象がします。個人的にはもっと暴れる感じのセッティングでもいいと思いますが。セッティングは自分が信頼できる工房などに依頼して自分好みの音にしていくとしても、最初から細かい部分の仕上がり度合いが丁寧な仕事により、相当なレベルにあることは重要と考えています。

ちなみにVanzandtの製作ペースですが私の所有機の作成された時期、シリアルNo.からの推測ですが、TLV‐1が97年12月、STV‐2が99年1月、スポットSTV‐1が01年10月です。マーケットの需要等により年間の生産数にばらつきがあると思いますが、この当時は月平均10本くらいしか作られていないようです。これって家内制手工業的製作ペースだと思いません?ピックアップ自体の製作ペースやラッカー塗装、丁寧な組み込み作業のことを考えると数人で作業しても時間がかかるということでしょうか。なのでオーダーした場合は、内容、時期、タイミング等にもよりますが、私の経験上2ヶ月〜3ヶ月は待つ必要があります。


私の所有機に関してはレビューを見ていただくとして、オールドと比べてという観点からすると「よりハイファイな感じで芯があり、音が前に出てくる」というか、個体差は十分ある前提ですが、やはり独特の音がすると思います。音に関しては本当に個人の好みの問題だと思いますがVanzandtに関してひとついえることは、オールドSTやTLに似た感じの音がするギターの購入を考えている場合、巷に溢れている同価格帯のギターよりは使える音が出る個体の確率が高いということだと思います。

価格
価格に関しては、実売価格で税込み20万円くらいになるでしょうか。これって、某社のVinモデルより2万円高くらい、CSのレギュラーモデルより4万円くらい安い(2002年4月現在)ということになりますが、表面的な視点からだと「ネームバリュー」、「中古になった場合の市場価値」、「ハードケース付属の有無」等を考慮に入れて自分にとって高いか安いかの判断をすることになると思います。個人的には本質的な視点から「ギター本体の性能・出音」で判断すべきだと思いますが、一般的には表面的な視点が重要視されるのも良く理解できます。しかーし、私の視点は以下の通り。

「ネームバリュー」
みんなが使っているものに個性は感じない。人と違うものを使いたい。仕事上もアングロサクソンの人たちに仕切られているのでせめて趣味のギターは「目的志向で作られたメイドインジャパン」にこだわって応援したい。(とはいえオールド等所有していればなお良い。お宝+音に関する判断基準を確立できるといえる?)

「中古になった場合の市場価値」
定価の50%〜60%が中古販売価格のものは所謂中古品としての扱いしか受けていないわけですが、その視点からすると、基本的にビンテージギター以外F社のCSもVanzandtもマーケットでは殆ど同じ扱いということになります。初期のVanzandtはピックアップだけでも貴重だし、その中で当たりの個体であれば絶対にお得なはず。個人的には「レアなVanzandtの中古」は狙い目だと思っていますが、もともと数が極端に少ないため見かけないのも事実です。

「ハードケース付属の有無」
普段持ち運ぶときにはソフトケースしか使わないので、自宅で保管しておく際の自己満足を満たせるかどうか。個人的には、オプションで選べるようにして欲しい。特にスポット生産品には標準で付属して欲しい。オールドの場合は入門モデルにもハードケースがついていたという「楽器を大切に使って欲しいというメーカーの姿勢」は継承して欲しいと考えています。

「幅広い選択肢」
Vanzandtの場合、オーダーメイドまではいかないけれどセミオーダーができるというのも魅力の一部だと思います。つまり、表面的なスペック(色、ピックアップ等)だけにとどまらず、材の質や重さ、ネックの握り等本質的な部分に関してこだわれるということです。もちろん、お店に置いてある中からベストな1本が見つかればそれに越したことはないと考えていますが、「どうしても自分のこだわりを反映させたものが欲しい人」は標準価格とそんなに違わない価格でセミオーダーが選べるということです。ただし、その場合オーダーする人は、「スペックと音は別物」と考えてあくまで「自分の求める音の明確化」ができていること。そしてそれをうまくお店の人に伝えられることができることが条件になると思います。(理解できる店員さんでなければ全く意味がありませんが)あとは出来上がってから自分の好みの音に極力近づける努力に対して協力的なお店であることも重要なポイント。まあ何を買うにも当てはまると思いますが、自分の好みとあうメーカー、信頼できるお店(人)と出会うことが、一番重要かも。