気になる特殊楽器
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音を出すことが出来ればそれだけで楽器と言えるのですが、 複雑なリズムや微妙な音程を表現するためには、それなりに使い勝手の良い代物でなくてはなりません。 しかし使い勝手だけを求めると、その楽器自体の個性・芸術性を台無しにしてしまいます。 楽器の歴史とは、その時代時々の芸術性と機能性の綱引きの結果なのです。 ここではそんな綱引きの結果、置いてきぼりにされた楽器を採り上げます。 |
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・どんな楽器? 現在、西洋の擦弦楽器(弦をこすって音を出す楽器)はほとんどヴァイオリン属ですが、ルネサンス期〜前古典派の頃には趣の異なる属、“ヴィオール属”が存在していました。バロック時代は2種類の擦弦楽器がせめぎ合っていた訳です。 その中でヴィオラ・ダモーレはヴィオール属の楽器構造を基にしていながらヴァイオリン属のような弾き方をする楽器で、言わば“あいのこ”となりますでしょうか。 さらにこの楽器ならではの特徴は、こすって音を出す弦以外に“共鳴弦”と呼ばれる弦が張ってあることでしょう。この弦により音色がより個性的になりました。 ・この楽器のどんなところに惹かれる? 一言で言えば「枯れた音」なのです。(決してマイナスの意味ではありません) こする弦はヴァイオリンに比べ鳴りませんが決してデッドな音色でなく「ストレートな音響でない」と言った方が近いでしょうか。 その上“共鳴弦”のやたら高い金属的な響きが追っかけて来るのです。 普通のヴァイオリンの音が“潤沢”“豊か”な響きだとすれば、この楽器の音は“風流”とでも言いましょうか、とても独特な音なのです。 さらにこの楽器の開放弦は“レ”“ファ#”“ラ”の3種類しかありません。この3つの音で和音を形成するので、単に開放弦を弾くだけで幸せな気分になれるのです。 ・この楽器を使ったオススメの曲 1番有名なのはヴィヴァルディの「ヴィオラ・ダモーレ協奏曲」でしょうか。ダモーレソロのための協奏曲だけではなく、リュートとのドッペルコンチェルトもとても良い曲です。 あと、近代になりましてこの楽器の再評価が進みましたが、その代表格がヒンデミットですね。「室内音楽第6番」は協奏曲形式になっておりますが、ダモーレ小ソナタもバロック風な味付けでカッコ良いです。 それ以外は音源を手に入れるのも一苦労だと思います。かく言う私も手に入らない曲が沢山、、、特にシュターミッツのソナタ・協奏曲って無いですかねぇ? |
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・どんな楽器? 19世紀になると管楽器の性能が格段に上がりますが、性能向上に貢献した楽器製作者の代表格がアドルフ・サックスです。彼の発明した楽器では“サクソフォーン”が有名ですね。 この楽器は、ヴァイオリン属のような広い音域を均等な音色で演奏できる木管楽器群を目指して発明されたものですが彼はこのような試みを金管楽器でも行っているのです。それを“サクソルン属”の楽器と呼ぶわけです。 しかし、この試みはサクソフォーンほど成功しませんでした。よって現在サクソルン属の括りでこれらの楽器が呼ばれることはあまりありません。 一応サクソルン属を列挙してみると、フリューゲルホルン・アルトホルン(テナーホルン)・バリトン・ユーフォニアム・テューバ・等々となります。 (実はこの書き方も厳密なサクソルン属の表記と異なります。楽器の表記は発明者の特許争いなどで混乱したまま現在に至っているのです。) ・この楽器のどんなところに惹かれる? 何しろ“機能的”であることでしょう。ある意味、最も理想的な音を奏でることのできる楽器です。 自分は金管楽器の演奏経験が全くないので机上の空論を脱し得ませんが、他の金管楽器よりも低倍音で演奏できるため音が当たりやすく、バルブを多用できることにより速いパッセージを吹きこなしやすいのです。音色もクセがなく、オルガンのような豊かな響きがします。 ただこのクセの無い響きが災いし、オーケストラのような各楽器の個性を対比させる楽曲には不向きになってしまうのです。残念無念。 ・この楽器を使ったオススメの曲 サクソルン属の楽器にとって最も重要なのはブラスバンド。 とはいっても日本で呼ばれる「ブラス」「ブラバン」は木管楽器も含んだ“吹奏楽”のことで、ここで言う“ブラスバンド”のことではありません。ブリティッシュタイプとも言われるでしょうか、映画「ブラス!」に出てくる編成のことです。 ブラスバンドには団員の一人がソリストを務めることがありますが、サクソルン属の運動性の見せ所でもあります。ヴァイオリンのような細かいパッセージを難なくこなしていく様は圧巻です。 オーケストラではマーラーの交響曲第7番「夜の歌」第1楽章に出てくるテナーホルンがあります。 (実はこれも国によって名称の違うところがあるので、サクソルン属かどうか微妙なのですが) トロンボーンともホルンとも違う、無機的な響きにぞくっとさせられます。 自分としては弦楽四重奏曲をサクソルン四重奏で聴いてみたいのですが、そんなCD有りませんでしょうか? |
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・どんな楽器? 1924年にロシアの物理学者レオン・テルミンによって発明された最古の電子楽器です。 映画「テルミン」が公開され、注目された楽器なのでご存知の方もいらっしゃるかと思います。 演奏法は非常に珍しいもので楽器自体に触れることはありません。アンプ・スピーカをつないで音を出すのですが、垂直に伸びているピッチアンテナに右手をかざすことにより音程を、水平にループしているヴォリュームアンテナに左手をかざすことにより音量を変化させることができます。 ・この楽器のどんなところに惹かれる? 音色自体はとても機械的なのですが、かざしてある手を震わせることにより弦楽器で言う「ヴィブラート」をかける事が出来、様々な表現(暖かい・寂しい・激しいetc.)をすることが可能です。 しかし何といってもこの楽器は「人間が音楽を奏でるために必要な最も基本的な部分を操る楽器」といえるのです。 例えば皆さんが強い声で歌うためには、 ・歌い始めの発音をはっきりする ・たくさん息を使う ・息のスピードを上げる という技法をごく自然に行うはずです。しかし、テルミンが強い音を出すためにボリュームアンテナから手を離したとしてもラジオのヴォリュームをひねったのと同じ行為に過ぎず、強い音とはなりえないのです。 強い音で演奏するためには ・最初の音の立ち上がりを速くする ・右手の音程確定をすばやく行う ・適切なヴィブラートをかける という動作を自ら意識して行わなければなりません。でもこれってどんな楽器にも必要なことなんですよね。それに気づかせてくれた楽器なのです。 (まあ、それだけ演奏するのが難しい楽器と言えるのですが) ・この楽器を使ったオススメの曲 クラシックの業界でこの楽器によるオリジナル曲は皆無に等しいですね。ヴァレーズのエクアトリアル(赤道)って曲がそうなのですが、音程を取るのがあまりにも難しすぎて同じ電子楽器の「オンド・マルトノ」という楽器に変更してしまいました。 オリジナル曲にこだわらなければ日本の童謡・オペラのアリアなど応用範囲が広いです。まあ、「オススメの曲を聴く」より「演奏体験してみる」のがこの楽器への理解が深まると思います。 |
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