小論文の書き方入門講座〜きりかぶ先生と満月君#1

〜大学受験小論文・AO入試のために

小論文の書き方〜部分と全体

満月君:先生こんにちは。今日はちょっと重い質問があるんです。

きりかぶ先生:ほお、なんだい?

満月君:いろいろ文章の練習を繰り返してきたし、本も読んで、なんとか日本語として「おかしくない」文章は書けるようになったんですけど、小論文の書き方、っていうかどうも論理とか、考えを進める方法とか、そこがわからないんです。

きりかぶ先生:そうだね。君の答案は、いつもそういった点の指摘で真っ赤になるものね。…どうやら君には、小論文の書き方そのものよりも、「考える」とはどういうことか、そもそもそこから説き始めた方がいいかもしれないね。…でも相当長い話になるし、それだけに途中で話が見えなくなるかも知れないから、ちょっと辛抱がいるよ。

満月君:ぜひ!お願いします。最後までキチンと聞きます。

きりかぶ先生:うん。その意気やよし! では、始めようか…。

(先生、一枚の写真を取り出す)

きりかぶ先生:さて、これだ。何に見える?

満月君:なんだかはっきりしない写真ですね。一面真っ白というか、ところどころスジ状に灰色がかっていると言うか…。

きりかぶ先生:(もう一枚取り出して)じゃ、これは?

満月君:ははは。車に決まってますよ。

きりかぶ先生:そうだね。でもこれらは、同じものとも言えるんだよ?

満月君:どういうことですか?

きりかぶ先生:種を明かすとね、先の写真は、後の写真に写ってた車の、ヘッドライトのレンズを大写しにしたものなんだ。どっちも同じ「車」を写したものなんだから、同じと言えなくもない。

満月君:ええ…まあそういえばそうですが…。

きりかぶ先生:でも君はこの2枚を見ても同じものと思わなかったように、常識的には別のものなんだ。君もそれには同意するだろ? そして大事なのは、普段僕らがものを考える際には、車とヘッドライトのガラス、つまり全体と部分は、別のものとして扱っていい、というより別物として扱わなくてはならないという事なんだ。

満月君:なんだか当たり前のことを言われているように聞こえるんですが…。

きりかぶ先生:でもいざ、小論文でものを考えるときにも、この「あたりまえ」を通し続けるのは、なかなか難しい事だよ。現に君は「今の老人は生活に困っていないから、年金は大幅に減額すべきだ」なんて、小論文の答案に書いてたよね? 高齢者全体は確かに、かつてよりは豊かになってる。でも依然として、生活に困っているお年寄りもいるのは間違いない。ほらほら、部分と全体を一緒にしてしまっていないかい?

満月君:そういえば…。

きりかぶ先生:ものを考える際に取り扱う、とあるものごと、その規模が大きければ大きいほど、その内部には思いもよらなかった意味や性格をたくさん持っているものなんだ。だから、おおざっぱにとらえてしまえ、という面倒くさがりの気持ちをぐっとこらえて、その部分部分を丁寧に見て行かなくてはいけない。これが本来の意味で、「分析」と呼ばれる作業なのさ。

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