小論文の書き方入門講座〜きりかぶ先生と満月君#2

〜大学受験小論文・AO入試のために

小論文の書き方〜分析を助けるもの

きりかぶ先生:さて、前回では小論文の書き方のうち、「部分と全体」「分析」について話したね。

満月君:ええ、面倒がらずに部分を細かく見ていけ、というお話でした。

きりかぶ先生:その通り。でもね、細かく見ていかなくてもいいとも言えるんだよ。

満月君:それじゃぁ話が元に戻っちゃうじゃないですか。車を見て、「これは車だ」と言うだけじゃ、だめなんじゃないですか? 小論文の答案としても失格ですよね。

きりかぶ先生:その通り。でもさ、それじゃ細かく見ていけ、と言われたら、困るのは君の方なんだよ。…(ライトのレンズを大写しにした写真を撮りだして)試しに君、これを分析してごらん。

満月君:え…そんなこと言ったって…。(じっくり写真を見つめる)ええとそうですね、たくさんギザギザがついてますね…これは何ですかね。それとこのゴミみたいなのは、ぶつかってくっついちゃった虫の羽根かしらん…。…あとは…えーと…えーっと……先生、もう降参。

きりかぶ先生:ははは。いや、でもたいしたものだ。それで十分だよ。今君がやってみせた事は、実はものを考える上で、とてつもなく大事なことなんだ。

満月君:いやぁー…えへへ。でも大事なことって何ですか。

きりかぶ先生:それはね、観察して、認識して、解釈や判断をした事なんだ。中でも一番重要なのは観察した事。これはね、ものを考える出発点だから、小論文の書き方の中でも、あだやおろそかにしてはいけない。

満月君:今回もまた当たり前の…。

きりかぶ先生:そう途中でチャチャを入れなさんな。

満月君:すいません。それで?

きりかぶ先生:ンうん…。また話に出してうんざりかも知れないけど、前回取り

上げた君の小論文答案で、「高齢者全体」と「やはり生活に困っているお年寄り」をごっちゃにしちゃった事は、とりもなおさず、「高齢者」をよく観察していなかったからこそ起こった事なんだよ。

満月君:だから部分をよく見ろ、って言うんでしょ? 話がまた戻りました。

きりかぶ先生:するどい! でもさ、細かく見る事には限界がある。早い話が、今君が言った「ギザギザ」を、光学の技術者が見たらどうだろう? ギザギザ一本一本の形や大きさが、レンズの性能、つまり屈折を決める鍵だと見抜いて、もっともっと多くの事を語るだろう。それはくっついた羽根の形を、生物学者が見ても同じことだろう。さらに言えば、ギザギザや羽根なんて無くても、化学者はガラスの成分を語るだろうし、物理学者はガラスを作ってるケイ素の原子やそのまた陽子、はてはそれを分割したクウォークの運動についても考える事が出来るはずだ。でもね、今の君にはそれは無理だろ?

満月君:ええ、確かに。そんな事考える知識ないですもん。

きりかぶ先生:その通り。だから、小論文でものを考えるのには、考える対象についての知識がないと、ある所で行き止まりになってしまう。だからね、今ある知識を総動員して、出来うる限りの所までせまらなくちゃあいけない。

満月君:あ!わかった! じゃ知識があれば、どこまでも考えを進められる、って事ですね!

きりかぶ先生:残念だがブー。知識だけではどうにもなんない。

満月君:えー! じゃ考える事の鍵って何なんですか?

きりかぶ先生:あわてない、あわてない。最初に言ったろ?かなり長い話になるって。そもそも、「考えるって何?」なんていう、単純に見えてその実複雑な話に、そうそう結論は出ないものだよ。

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