小論文の書き方入門講座〜きりかぶ先生と満月君#5

〜大学受験小論文・AO入試のために

小論文の書き方〜論文で愛を叫んではいけないという事

満月君:前回、小論文と作文の違いをちょこっと話してもらいましたけど、まだボクには納得がいかないです。

きりかぶ先生いい質問だね、それは。ここは本当に大事な点だから、も少し話しておこう。…君はもちろん、誰かを好きになったことがあるだろ?

満月君:ええ。そりゃもう。

きりかぶ先生:じゃ、今ここに彼女がいたとして、どのようにその思いを語るかな?

満月君:いやなことをやらせないでくださいよ…。でも、まあ、そのォ……言うとしたら…。

きりかぶ先生:わかった、わかった。言わなくていいよ。まあ、たいがいの人は、こういう場合、「好きだ好きだ好きだ、君は最高だ、性格も容姿も趣味も抜群だ」程度のことしか言えないと思うんだ。…むろん、それでいいと私は思う。理性や分別を忘れないような恋は、恋じゃないからね。でもね、だからこそ「人を好きになった理由」なんてものはしごく曖昧か、もしくは全然理由にならないものでしかない。

満月君:えーと、そうですね、なんだか感情というか、思いというか、欲望というか…。

きりかぶ先生:その通り。その「思い」だけをただ書き連ねたのは、恋文にはなるが小論文にはならないのさ。なぜかと言ったら、そこに「誰もが理解できる、合理的な理由とその説明」がないからなんだ。でもね、逆に合理的な理由とその説明なんかを、彼女にしたらどうなるだろう?「君の顔幅は**pで、目の大きさは*p。比率として美人の条件に当てはまるし、スリーサイズと身長・体重の関係を解析した結果は次の通り。肌の色から察するに、身体の代謝状況も良好、よってこれは私の要求値にほぼ近く…」なんて言ったら。

満月君:振られますよ!!

きりかぶ先生:そうだろ?いいかい、よく聞いてほしいんだが、小論文に代表される「論文」と、恋文に代表される、文芸作品・感想文などの「作文」は、その目的は似ていても、やり方が180度と言っていいほど違うんだ。

満月君:その目的って?

きりかぶ先生:自分の意見を、他者、つまりは読者に理解し、同意してもらうこと。すなわち文章の目的である、「自己の意志を他者に伝える」ことだよ。この点で、両者は全く同じだ。でもね、たとえば同じ「お腹を満たす」ことを目的としていても、さっぱりしたものを食うつもりで入ったソバ屋で、こってりしたトンコツラーメンなんぞが出てきたら、いくらフカヒレやツバメの巣みたいな高価な具が入ってたとしても、客は怒って帰っちゃうだろ?

満月君:そりゃそうですよ。

きりかぶ先生:な? …だから、「小論文を書いて出せ」という大学側の要求に対して、感想文を書いちゃったら失格なんだよ。たとえその文章に誤字脱字が無く、言葉の使い方も適切で、すんごい知識がちりばめてあっても、注文の品と違うんだから、お客である大学の先生は怒っちゃうんだよ、ソバ屋に例えればね。だから感想文の方法は小論文の書き方として間違い。客を怒らせてどうするんだい?

満月君:なるほどですねぇ…。あ、わかった、ボクの答案には、「こう思う」とは書いてあっても、その理由が無いんですね!

きりかぶ先生:その通ォーり。「誰もが理解できる、合理的な理由とその説明」が無いからこそ、小論文として失格だし、君がいつも悩んでいる「書くことがない!小論文の書き方が分からない!」という壁に突き当たってしまうのさ。もっと言うとね、この「説明」ってことを考えないからこそ、結論は陳腐になるし、そう見えてしまうし、字数も埋まらなくなるんだ。

<PREV INDEX NEXT>

Powerd by 小論文navi   ©Masatsugu Takada/All Rights Reserved.