小論文の書き方入門講座〜きりかぶ先生と満月君#6

〜大学受験小論文・AO入試のために

小論文の書き方〜「思う」≠「考える」

きりかぶ先生:時に君は、「文は人なり」なんて言葉を知ってるかい?

満月君:聞いたことぐらいはありますよ。イヤ〜な言葉ですね。

きりかぶ先生:うん、文章が苦手な君なら、確かにそう思うだろうね。でもね、こと「小論文で、この人の頭の程度はどれほどか?を計る」っていう視点に限ってみると、これはほぼ当たっているんだ。

満月君:どういうことです?

きりかぶ先生:前回話したよね、「誰もが理解できる、合理的な理由とその説明」が無いものは小論文じゃないって。つまり、テーマを与えられて、それについてどう思うか、を「思いつく」ことは、それに関する知識さえあれば、それほど難しいことじゃない。でも、その「思いつき」にどれほど正当性があるのか、そもそもその「思いつき」が当たっているかどうかは、考えないとわからないことなんだ。そしてね、この「考える」ってことは、つまりは頭の働きだろ?だから、書き上がった小論文の答案を読めば、書き手の頭の働きの程度はわかってしまうのさ。

満月君:む。理屈としてはそうなりますねえ…。

きりかぶ先生:理屈として正しいなら、それを正しいものとして扱うのは、「思考」の大原則だよ? …まあそれはいいとして、君の小論文答案によくある、「私は…と思う」の連続は、ほかでもなくこういうことを言って回るようなものだ。つまり、「私は思いつきを語っています。それが正しいかどうかなんて知りません。ましてや人サマがどう思おうが知ったことじゃありません。ただこう思いたいからこう述べてるんです」ってね。こりゃあだめだよ。小論文の書き方として間違い。

満月君:ボクがバカだって言うんですね! ひどい!! ……でも…当たってるように思います…。

きりかぶ先生:君は決してバカじゃないよ。ただ、思考の訓練ができていないだけさ。日本じゃこの訓練はまず学校ではやらない。先生方だってやったことがないから教えようがないんで、これは無理もないことなんだ。それには、どうにも仕方のない時代的な要請があったからなんだけどね…。

それはさておき、本当は頭がいい君のためにこう言おう。「君の主張をきちんと説明するのは、図々しいことでもいけないことでもなく、むしろこれからの時代に必要な、立派な行為なんだ」と。また、「だからこそ、入試でも企業の昇進試験でも、小論文が課されるようになったんだ」と。つまりね、君はただ「慣れてない」だけ。ほんのちょっと、考え方を変えて、小論文の書き方としては、「意見を伝えよう」という意志を持つだけでいいんだ。

満月君:ぐすん。そんな簡単なことだけでいいんですか?

きりかぶ先生:そうだよ。それにね、これは「簡単なこと」なんかじゃない。話がそれちゃうけど、今この社会が突き当たっている問題の、根本的原因でもあるんだよ。

どういうことかというと、従来この社会では、「考える人」と「言うことを聞く人」がはっきり分かれてた。確かに、少数の「考える人」の考えが適切ならば、何もみんなで議論する必要はない。黙ってそれを実行する多数の人がいればよかったし、実際うまく行ってた。

ところが、この少数の「考える(はずの)人」が、本当に自分の考えが正しいかという検証や、またその考えを大勢の人に理解してもらうための努力を、だんだん面倒くさがってやめてしまった。つまり、「考えるべき人」が、「単なる思いつきを言うだけの人」になっちゃったんだ。

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