小論文の書き方入門講座〜きりかぶ先生と満月君#9

〜大学受験小論文・AO入試のために

小論文の書き方〜よく考え、よく伝えよ

満月君:わかったぞ! ボクはずっと、小論文の書き方として、「格好いい小論文」「お手本みたいな小論文」をまねして、それっぽい答案を書くことばっかり考えてたから、書けなかったんだ。自分で考えた意見を、自分で磨いて、自分の言葉で言おうとしていなかったんだから、そもそも書くことなんかありゃしなかったんだ!

きりかぶ先生:出来た! ここで小論文の「初段」免許を与えようぞ。…って言っても、まだ若葉マークだけどね。

満月君:いやいやありがたく頂戴します。…で、若葉マークはいつ取れます?

きりかぶ先生:こらこら調子に乗るんじゃないよ。リクツがわかったからって、それをすぐに実践できるもんじゃない。いいかい、考えに考えぬいた結果の小論文を私に提出して、添削の赤字で真っ赤っかにしてもらうことをあと何回も繰り返さないと、一人で書けるようにはならないゾ。

満月君:む…。つまりは、お金を払えってことですね。

きりかぶ先生:(笑)失礼な。まぁ確かにお金も払ってもらいたいけどさ。

じゃあきくけど、君は、自分の書いた答案がいい出来か悪い出来か、その理由まで含めて、自分で判断できるかい?

満月君:えっ! …そりゃあ、わかんないですけど。

きりかぶ先生:だろ? 他人の書いた文章を批判することは誰にだってできるけど、その理由や、ましてや、「どうして駄目なのか」「どうすれば良くなるか」なんてのは、それこそ長い時間をかけて訓練し、床が抜けるほどたくさんの本を読まない限り、わからないことなんだよ。

満月君:そういえばいつか先生のお宅におじゃましたとき、屋根裏部屋まで本だらけでしたね。あれ全部読んだんですか!?

きりかぶ先生:まぁ辞書のたぐいもあるし、ざっと目を通しただけ、ってのもあるけど、ほとんどは読んだ。って言うか、毎年のように段ボール箱何箱って量を古本屋にたたき売って、やっとあの数に減らしてるんだよ。これは私だけじゃない。同僚はもちろん、大学で教えてる友人なんかは、みんな似たり寄ったりさ。本の重みで、本当に床が抜けかけたヤツだっているんだぜ。

でも知識でメシを食うからにはこれは当然で、仲間内で「ウチには1000冊、本があります」なんて自慢しようものなら、「すごいすごーい、えらいねー」ってバカにされるのがオチだ。読書量があまりに少なすぎるってだけじゃない、冊数を数えるなんてのは、本を読んだんじゃなくて、ただ「飾った」だけってことのいい証拠だからさ。まあ、百歩譲って読んだとしても、その結果「自分は何冊読んだ」ってことしか記憶に残ってないんなら、ただ本を初めから終わりまで「眺めた」だけで、ぜんぜん教養として身に付いてないってことだからね。

満月君:へえぇ。でもそうやって訓練を積んでいけば、いつかは先生みたいに自分の文章の善し悪しがちゃんとわかるようになるのかぁ。

きりかぶ先生:自分の文章の善し悪し? そんなもの、私にだって判断できないよ。私もずいぶん文章を書いたし、実際今も書いてるけど、自分の文章や思考の善し悪しなんて、自分では全くと言っていいほどわからないものだ。それは友人に読んでもらったり、話したりして、やっとわかることなんだよ。

満月君:ええっ、先生でもそんなもんなんですか? これは前途多難だ…。

きりかぶ先生:(笑)おいおい。さっき自分で気づいたばっかりじゃないか、(小)論文=思考そのものなんだってことに。つまり、読み手=他者に対して自説を伝え、その同意を得ることができて、はじめて小論文は完結するのさ。ってことは、思考も小論文も、始めッから「他者」「読み手」が組み込まれてるんだ。小論文の書き方としては、自問自答ってこともあるけど、それも最終的には、他者に伝えるっていう目的があってのことだよ。だから、読んでもらう、批判してもらうってことを繰り返さない限り、絶対に小論文はうまくならないんだ。

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