小論文の書き方入門講座〜きりかぶ先生と満月君#12

〜大学受験小論文・AO入試のために

小論文の書き方〜なぜ考えねばならないか?

満月君:じゃあつまり、小論文で書く意見の中心は、やっぱり「理由」の方なんですね?

きりかぶ先生:うん。学問にたずさわるっていう意味では、君たちは初学者どころか、それ以前なんだから、結論はいくら陳腐でも、どっかで聞いたような話でもかまわないんだ。大学の先生方が求めてるのは、テーマへの適切な解決策なんかじゃない。そうじゃなくて、意見を言うならきちんとその理由を説明できるか、その理由の組み立てが、理屈にちゃんと合ってるかどうかなんだ。

満月君:ええ、よくわかります。 …はーぁ、でもなんでこんな面倒くさいことを…。

きりかぶ先生:ふふふ。確かに面倒くさい。それに日本の社会では、「論理的である」ってことは、どういうわけか、「理屈っぽい」って嫌われることが多いからね。

満月君:あーあ。小論文で受けるのやめちゃおうかなぁ…。

きりかぶ先生:その手もあるよ。でもさ、今どき行くに値する大学に入り、学ぶなら、いずれこの問題とは対決しなくちゃならないんだぜ。

満月君:え? 本当ですか?

きりかぶ先生:もちろん。早い話が、ちゃんとした大学の学部なら、卒論書かなくちゃいけないだろ? これからは大学もキビシくなるから、卒論ができなきゃ容赦なく退学だよ?

満月君:キビシくなるって、なぜなんです?

きりかぶ先生:それはね、そうしなきゃ大学自身生き残れないからさ。ほんの10年ほど前までは、勉強なんかしない学生にも、大卒って資格(?)だけ与えてりゃよかった。でもね、見た目だけ大卒で中身のない=仕事のできない人材を押しつけられた企業の方は、いいかげんいやになっちゃって、もっとマトモな学生じゃないと、採りませんよって態度に出てきた。それに対して「はぁ、そうですかねふふん」って態度に大学が出れたうちはよかったけど、そのうち「あの大学に行っても将来がない」ってことが世の中に知られちゃって、「大変じゃあ」ってことになった。そりゃそうだよね、お客=学生が来なきゃ、先生も職員も、おマンマの食い上げだからね。それで今になって、みんなあわててるわけ。

満月君:へェーえ。でも小論文と何の関係が?

きりかぶ先生:大ありだよ。と言うのは、今までの「仕事ができる」っていうのは、「何をすべきか」ってことを全部上に決めてもらって、その範囲の中でどうこなしていくかが問題だった。ところが世の中のありさまががらりと変わって、これまで有効だった「何をすべきか」ってことが、通用しなくなっちゃった。ってことは、管理職だろうが社長だろうが、「何をすべきか」を決められなくなっちゃったんだね。そしたらこうしたエラい人は、まことにもって調子のいいことだけど、今度は、「何をすべきか」を、自分たちで考えろ、って、部下や社員に投げ出すようになった。そしてもっと調子のいいことに、「自分で考える」人材を教育できない大学はけしからん、とまで言い出したんだよ。

満月君:ずいぶんずうずうしいんですねぇ。

きりかぶ先生:本当にねぇ。使いこなせるかどうかもあやしいのにねぇ。でもね、小論文の書き方だけでなく、「自分で考える」ってことを教えるのは、大変に手間がかかる。それは今君と私がやってるように、文章を書いてもらってそれを見て、本当に考えたか、考え方は正しいかを、いちいち添削しなくちゃならない。残念かどうかは知らないけれど、今のところ、小論文の書き方の教授、つまり「考えること」は、この「添削」と、もう一つ、大勢を前にしての「討論」でしか訓練できないんだ。だからこの手間を省くため、あらかじめ「考える」ことができる学生を採りたくて、大学は小論文を課すんだよ。

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