小論文の書き方入門講座〜きりかぶ先生と満月君#13

〜大学受験小論文・AO入試のために

小論文の書き方〜これからの人生のために

満月君:そんなことなら、なんで入試を小論文に一本化しないんです?

きりかぶ先生:うん。それはね、一般教科と違って、小論文の採点は単純にマルバツを付けるだけじゃ済まないからさ。で、採点に時間と手間がすごくかかる。考えてごらん、1000字程度の文章を読むだけだって、相当に時間がかかるだろ? つまり、入試にかかるコストって点で、小論文はたくさんやるには大変すぎるんだ。

満月君:あ、だから大半を一般教科で採って、小論文は一部だけなんですね。

きりかぶ先生:その通り。前回も話した通り、大学としては「考える」ことがちゃんとできる学生を、一人でも多く採りたい。でも小論文試験を実施するのは大変っていう、いわばジレンマの中にいるんだよ。

だけどさ、いわゆる「いい大学」の入試科目を、よくよく見てごらん。いい大学であればあるほど、必ず小論文で学生を採ってる。実は、これは小論文入試が始まる前でも、同じだったんだよ。

満月君:え? それってどういうことですか? 小論文入試以前からって。

きりかぶ先生:うん。これはずいぶん昔からなんだけど、「いい大学」の一般教科試験は、いわゆる記述・論述式なんだ。確かに、大学受験レベルなら、たとえ数学であろうとも、一般教科のほとんどは「暗記」で突破できるだろう。でもね、それだけに「いい大学」は、昔からちゃあんと採点に手間ヒマをかけて、記述・論述式っていう、「考えさせる」試験をしてた。

例えば慶應義塾は、文系では国語の代わりに小論文を課してるが、これは私が受験したウン十年前もそうだったし、どうやら大昔からそうだったらしい。東大・京大なんかもそう。ほら、東大の地歴公民なんて、ほとんど小論文と言っていいほどだろ?

満月君:あ、確かにそうですねぇ。

きりかぶ先生:だから、君が小論文で受けるのがいいか、それともやめちゃうかは、私にはスパッと答えられない。小論文で学び取る、考える習慣と技術ってのは、いずれ必要になることだし、多くの教科が平均的にできるようになるには、やっぱりそれなりに大変な勉強が必要だろ? だから、そうした勉強をするのと、小論文の書き方を学び、十分な答案が書けるようになるまで練習を繰り返すのと、どちらが大変かってことは、一概には言えないことなんだ。

満月君:そう言えば…。ボクはできる教科とできないのと、デコボコがありすぎます。

きりかぶ先生:だからこそ、私は君に小論文を勧めてるわけだし、ここで繰り返すように、考える習慣を付けることは、これから先の君の人生に、ぜひ必要なことなんだ。わかるかな?

満月君:何と…なくですが。

きりかぶ先生:たかが、とあえて言うけど、たかが大学受験のためだけに、小論文の書き方だけじゃない、何かの技術や知識を詰め込むなんて、こんなむなしい作業はない。それにね、英語であれ数学であれ、受験にしか役に立たないかというと、全然そんなことはない。もちろん大学に入っちゃうと、どんどん英単語なんかは忘れていくし、余弦定理みたいな初歩的なものすらあやしくなってくる。

でもさ、一度やったことがあるけれど忘れてるってのは、磨き直せばすぐ使えるってことさ。全くやったことが無いものを、一からやるのは大変なんだよ。でね、どういうわけか、こうした知識を使う機会は、いずれ必ずやってくる。そのものズバリでなくともね。一方、こうした「知識」と比べると、考える習慣とその技術は、大学でもその後の生活でも、常に必要になってくるんだ。どうかな、これでも小論文やめるかい?

満月君:いえ、わかりました。やっぱり小論文で、大学受けます!

きりかぶ先生:その意気やよし!

…これまで話してきた「考える」ってことを忘れないようにすれば、道はきっと開ける。だからこれからも、小論文とは、思考とはってことに、精進していってほしいな。

満月君:わかりました。先生、長々とどうもありがとうございました。

きりかぶ先生:健闘を祈るよ。それじゃ!

<PREV INDEX< NEXT>

Powerd by 小論文navi   ©Masatsugu Takada/All Rights Reserved.