フィールドテクノロジー研究室ホームページへようこそ(更新日2012.4.29)

札幌におけるワインの歴史

 

書籍、ネット情報、文献や現地調査などから札幌に関連するワインの歴史を

ワイン醸造所の存在を中心テーマとしてを順次書き加えていきます。

明治時代に入ってから山梨県でワイン醸造が開始され、それにつづくのが札幌でした。

このことから、山梨とは異なる札幌"ワインツーリズム"(歴史コース)が作れればと考えています。

札幌葡萄酒製造所が過去に建っていた"サッポロファクトリー"(札幌市中央区北2西5)、

その創設責任者の"村橋久成"の胸像(知事公館)、

現在ブドウ畑の面影はありませんが、

札幌官園跡、苗穂葡萄畑跡、平岸葡萄畑跡などから、現在のワイナリーを巡るワインツーリズムいかがですか。

"日本ワインの歴史"における札幌の位置付け、日本におけるワイン産業の変遷を考えていきたいと思います。

明治時代の情報は比較的入手できたのですが、大正から昭和の時代における札幌のワイン関連の歴史は、

まだ調査中です。調査が進めば北海道産のワイン醸造やブドウ栽培の歴史を加えたいと考えています。

 

開拓使から始まる

 明治9年(1876年)に開拓使の開拓殖産事業として"札幌葡萄酒製造所"が開業されました。

 西側に隣接し建設された"札幌麦酒製造所"は、現在の"サッポロビール"の始まりです。

 最初に醸造したのが札幌地生の"山ぶどう"とされています。

 開拓使の顧問であった"ケプロン"は北海道に地生するホップを確認しビール製造を、

 山ぶどうの地生を確認してワイン醸造を進言したとされています。

 山ぶどうの幹は大きな樹木に寄り添い高く高く生長していますから、収穫にも苦労したと思います。

 ばんけい峠のワイナリーに隣接する林には野生の山ぶどうが生息しています。

 山ぶどうは、種子が大きく、酸味と渋みが強いので、酸味の強いワインが製造されたのではと思います。

 札幌葡萄酒製造所開所式にはワイン熟成用の木樽も写っていますから、木樽も作れる技術があったのでしょう。

 明治10年のワイン原料は、明治8年に七飯官園から札幌官園に移植されたアメリカ種ブドウが原料とのことです。

 明治15年までは、白葡萄酒が、"カトーバ"、

 赤葡萄酒が、"ハーデフート"と"コンコルド"との品種がカタカナ表記で記録されています。

 明治10年の札幌官園ブドウ収穫の様子は、池澤夏樹さんの小説"静かな大地"に表現されています。

 札幌官園は4箇所(北6条西6丁目付近、開拓使構内、北3条東3丁目付近、苗穂)と札幌区史に記述されています。

 さらに真駒内にもブドウ栽培がひろがっていきました。

 この頃から栽培され、現在もワイン原料とされているブドウ品種として"コンコード"があります。

 開拓使のワインで使われたブドウ品種でも消えてしまったものもあります。

 現在のJR北海道の苗穂工場は明治42年(1909年)に苗穂のブドウ園に建てられました。

 当時は川が近くを流れていたということですので、高温多湿に対応可能なアメリカ系品種が栽培されていたと思います。

 明治18年には、日本国内のヨーロッパ系ブドウ品種は、フェロキセラ発生により壊滅的被害を受けていますが、

 札幌葡萄酒製造所が継続していることからアメリカ系品種の栽培であったことが幸いしたのでは。

 製造所建設の責任者は"村橋久成"、醸造担当者は"畑新次郎"と記録されています。

 最初のワイン=葡萄酒の醸造責任者の畑新次郎については、

 田中和夫さんの著書"残響"で担当者となった経緯にふれられています。

 製造所に新撰組にかかわっていた"阿部十郎(隆明)"も開拓使の立場で何らかの仕事をしたようです。

 明治17年に国営となり、明治20年に民間に払い下げされています。

 民間になってからの経営者として、最初が"桂二郎"、次が"谷七太郎"とされています。

 原料ブドウを供給したブドウ畑は平岸一区などに拡大したようです。

 その後、経営者が代わりながら大正2年(1913年)に廃業するまで続きました。

 製造された葡萄酒は東京で販売されていたようです。

 では、廃業に至った原因は何であったのでしょうか、現在調査中です。

 参考文献およびサイト
  ・日本建築学会計画系論文集 (535), 247-253, 2000-09-30
  ・茜会編、"札幌の食いまむかし"、北海道教育社(1984)
  ・"札幌区史"、札幌区役所(1911)
  ・北海道史編纂掛、"札幌工業事務所"、−(−)
  ・池澤夏樹、"静かな大地(朝日文庫)"、朝日新聞社(2007)
  ・西村英樹、"夢のサムライ"、北海道出版企画センター(1998)
  ・山谷正、"さっぽろ歴史なんでも探見"、北海道新聞社(1993)
  ・稲垣眞美、"ワインの常識"、岩波書店(1996)
  ・田中和夫、"残響"、北海道出版企画センター(1998)
  ・ http://turiyamafumi.kitaguni.tv/e482211.html(アクセス日2011.8.7)
  ・ http://www.machi-net.jp/~uchan-vec/1876-1929.htm(アクセス日2011.7.18)
  ・ http://www.pref.yamanashi.jp/wine/japan_wine01.html(アクセス日2011.7.18)

 

大正、昭和は北海道各地で

 北海道においては、昭和4年(1929年)に現在の"はこだてわいん"のつながるワイン醸造が森町で開始されています。

 昭和9年(1934年)に現在の"ニッカウヰスキー"の大日本果汁株式会社として設立され、

 昭和13年(1938年)にアップルワインが誕生したとあります。アップルワインはシードルとなり弘前市に生産が移されました。

 1988年にブドウのワインが販売されましたが、余市での生産からは現在は撤退しています。

 昭和38年(1963年)"十勝ワイン"(池田町)、昭和47年(1972年)"ふらのワイン"(富良野市)、

 昭和49年(1974年)"北海道ワイン"(小樽市)と開設されています。

 昭和49年(1974年)に明治時代から札幌で清酒を醸造している日本清酒が余市町に"余市ワイン"を開設しました。

 この頃、道内の酒造企業もブドウ栽培やワインの試験醸造に取り組んでいます。

 昭和56年(1981年)"乙部ワイン"(乙部町)、昭和60年(1985年)"夕張ワイン"(夕張市)、

 昭和63年(1988年)"グレイスワイン"(千歳市)と開設がつづきました。

 北海道各地のワインが昭和の時代に札幌で飲むことができたかはわかりません。

 2000年には、札幌で昭和の時代に生まれた北海道各地のワインが札幌で入手できました。

 昭和60年(1985年)からの北海道一村一品においては、各地でブドウが栽培され、

 北海道内外のワイナリーでの委託醸造により地域ブランドのワインが誕生しています。

 石本さんの著書ではブドウのワインで21地域が掲載されています。深川ワインなど現在も残っているのもあります。

 参考文献およびサイト
  ・ http://www.hakodatewine.co.jp/company/history.shtml(アクセス日2011.7.18)
  ・ http://www.asahibeer.co.jp/area/04/applewine/history.html(アクセス日2011.12.9)
  ・ 石本修一、"北海道のワイン"、北海道新聞社(1996)
  ・ 阿部さおり、"北海道のワインを旅する"、北海道新聞社(2011)
  ・ 毎日新聞北海道報道部編、"北の食物誌"、毎日新聞社(1977)

 

平成の札幌におけるワイナリー多様化

 2000年の"月浦ワイン"(洞爺湖町)から再び北海道にワイナリーが開設が始まりました。

 2001年に札幌市中央区盤渓に"ばんけい峠のワイナリー"を開設しました。

 その後、北海道に開設されたワイナリーは個性的な多様なワイナリーの時代となってきました。

 札幌では、2007年には"ワイン工房さくら"(札幌市白石区)が開設されました(2011年現在休止中)。

 2009年には"さっぽろ藤野ワイナリー"(札幌市南区)が開設されました。

 2011年には"八剣山ワイナリー"(札幌市南区)が開設されました。

 札幌市内のワインツーリズムも可能な状況となりました。

 2012年現在、札幌は、ワインの専門販売店やワインが味わえるレストランなどの飲食店も個性的で多様です。

 そこで国産・海外産の多様なワインが味わえる環境にあります。

 ワインの知識やビジネスを学べるスクールもあり、ワインに関するカルチャー教室も開催されています。

 札幌におけるワインの催し物も回数を重ね札幌のワイン史に刻まれるようになっています。

 さっぽろライラックまつりでは北海道産ワインが集う"ワインガーデン"、

 道産ワイン懇談会が主催する"北を拓く道産ワインの夕べ"も2011年で16回目が札幌市内で開催されました。

 ワイン醸造の監督官庁も市内にあり、隣接する江別市には技術開発を支援してくれる機関もあります。

 ワイン産業としての生産から流通、消費までのそれぞれが存在する札幌市となっています。

 2009年には札幌の私立大学で、マーケティングの実践とし、

 大学ブランドのワインを製造販売するワインプロジェクトをおこなっています。

 札幌はワインを多様的に楽しめる環境があります。

 ワインに関する書籍について、札幌在住の方々の著書・訳書が出版されている。

 その中で、ばんけい峠のワイナリーが札幌におけるワインの歴史にどのように加われるか、

 今後ともご支援のほどお願いします。

 参考文献およびサイト
  ・ 阿部さおり、"北海道のワインを旅する"、北海道新聞社(2011)
  ・ 西脇隆二、"実践的マーケティング教育論"、共同文化社(2010)
  ・ Jim Law(著)、亀和田俊一(訳)、"ブドウ畑から始まる職人ワイン造り"、アールアイシー出版(2010)
  ・ Jean-Robert Pitte(著)、伊藤雅俊、小俣寛、中井和子、松木琢磨、山崎一彦、吉村桃子(共訳)、"ワインと神の聖なる物語"、北海道地域総合振興機構(2010)

北海道のワインの歴史の参考書籍・文献

 山本博、"日本ワインを造る人々 北海道のワイン"、ワイン王国(2006)
 谷口雅春、"テロワールのゆくえ 開拓使葡萄酒から北海道ワインへ"、p18-25、vol.13、カイ、ノーザンクロス(2011)

 

おわりに

 札幌におけるワインの歴史を調べていて、酒類の醸造は宗教や社会構造に影響を与え、
 地域の食文化の形成に重要な役割を果たしていることを強く感じた。
 グローバルな時代において、酒類においてワインとビールが最も世界で広く波及しながら、
 地域独自の酒類と共存し、新たな地域の食文化を作り上げている。
 ばんけい峠のワイナリーの樽人はフランスのワイナリーだけでなく、小さな農家が作るワインを体験し、
 国際協力で訪れたルーマニア、アゼルバイジャンのワイン作りにも触れて、
 北海道におけるオリジナリティーのあるワイン文化を発信し、それが食を基盤とした産業振興と
 北海道まで来てもらい楽しむワイン関連観光に思いを込めていることを再確認した。(金木)
 田村修二、"北海道産業論序説"、北海道開発問題研究会(1985)
 ワインもパンもチーズも発酵食品です。

 

問い合わせ先
郵便番号 064-0945
札幌市中央区盤渓201-4
ばんけい峠のワイナリー
電話&FAX 011-618-0522
"ワインの歴史"調査担当:金木(フィールドテクノロジー研究室)
E-mail:bankeiwine@k5.dion.ne.jp