Last updated on Aug. 26, 2006

植物のしくみ(覚え書き)


 植物を育てていると色々と不思議なことに出会ったり、感心したりすることに事欠きません。 一方で、育てる際には「これで良いのかしら」という迷いがいつも付きまといます。 そんな不思議や疑問を一気に解決しようという無謀な試みをスタート。 植物のしくみを調べていく中で、疑問が解けない場合はそのまま載せています。間違っている部分があったらどんどん指摘して下さい。


秋の七草

 春の七草は、いわゆる食用の花。 平安時代の若菜つみや現代まで継承されている七草粥に象徴されるように、長い冬の終わりに萌え出た新芽を食して、無病息災を祈願するものです。 これに対して、秋の七草は、その美しさを愛でるもの。 きびしくて寂しい冬に向かう前に、色とりどりに野に咲き出すさまは人々の心にのこる風景でしょう。

 秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種の花
                  (山上憶良 万葉集 巻八 一五三七)

 萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花
                  (山上憶良 万葉集 巻八 一五三八)

 秋の七草とは、ハギ、ススキ、クズ、カワラナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウであるというのが一般的ですが、 最後の朝顔については、キキョウではなくムクゲやヒルガオとする説もあります。

根出葉とロゼット

 根出葉とロゼット、似ているようでいてやはり違いがあるのだろう。

 根出葉は、茎葉の対語となっている。 正確にいうと、地下茎から生じるのが根出葉、地上茎から生じるのを茎葉、という。 根出葉は、地上茎をもつ種類はいずれは枯れ落ちるが、地上茎をもなたい種類では生育期間中は存続する(例えば、スミレやタンポポ)。

 根出葉は、根茎の節が多く極端に短縮すると、葉がバラの花びらのように密に配列するので、その全体をロゼット rosette と呼ぶ。 つまりロゼットというのは、葉の付き方の一つの形態を表す言葉のようだ。 宿根草には冬期をロゼットで乗り越えるものがあり、冬の環境に適応した生活型として使われることが多いが、冬だけに使われる言葉ではない。 私はこのあたりも曖昧だったのですね。

 節間の生長が抑制されるのは、オーキシンの酸化酵素の活性が高まることよる。 この引き金の一つが、低温に合うことというのが分かっている。 茎の生長は抑制されても葉は正常に生長して、野菜のなかのハクサイ、キャベツなどは可食部になっているそうな。 私たちはロゼット部分を食べていたのですね。知らなかった。

花の付き方(花序)

 植物を分類する際に、花の付き方というのは形態分類の重要な指標の一つです。 図鑑や事典には○○花序と書かれていますが、最近、自分が間違った使い方をしていたことに気づきました。 そこで調べたことを取りあえずまとめてみることにしました。

 下の表では花の咲き順をもとに、大きく総穂花序と集散花序に分けてあります。 が、分類にはいくつもの基準があるので、これは一つの例に過ぎません。 また、おもだった花序だけをのせています。

総 穂 花 序
(花軸は単軸分岐性で、花は軸の下方あるいは外側についた花から開花するという花序の総称。広義の総状花序。無限花序ともよばれる。)
総状花序
raceme
穂状。花軸からほぼ均等に花柄がでて、その先に花がつくもの ジギタリス、フジ
穂状花序(広義)
spike
穂状。花軸に直接花がつき、花柄がない点が総状花序とことなる
穂状花序 spike:細い花軸に花柄のない花がつき、ほぼ直立するもの オオバコ
尾状花序 catkin:花軸に花柄のない花が多数着き、尾状に垂れ下がるもの クリ、ヤナギ
肉穂花序 spadix:棍棒状。柱状の花軸に花柄のない花が密生したもの ミズバショウ
散房花序
corymb
傘状。花軸の下につく花柄ほど長く、花が平面か傘のように咲き揃うもの アブラナ
散形花序
umbel
傘状。花軸の先端から、ほぼ同じ長さの花柄が放射状に多数出て、花が傘状になるもの アガパンサス、ニラ
頭状花序
capitulum, head
頭状。花軸の先端が円盤状に広がり、その上に多数の花柄のない花が密につく(小さい花が集まって頭花をつくり、頭花のまわりは総包で包まれる) キク、アザミ

集 散 花 序
(花軸は仮軸分岐性で、まず軸の先端に花がつき、次の花は軸から出る側枝の先端につくという花序の総称。 1本の軸から出る側枝の数により単出集散花序、2出集散花序、多出集散花序に分けられる。 有限花序ともよばれる。 また、同じ花序であっても側枝の長さによって形状が異なる。)
単出集散花序
monochasium
花軸の途中から側枝を一本だけ出して花をつけることを繰り返すもの
蝸牛状花序 bostryx:花軸の途中から一方向へ、立体的に側枝をだして渦巻き状に花が着くもの ヘメロカリス
鎌形花序(さそり形花序、巻散花序)drepanium:穂状。花軸の途中から一方向へ、次々と側枝が出て花が着くもの ワスレナグサ、フリージア
扇形花序 rhipidium:花軸の途中から、側枝を交互の方向へ出して花が着くもの ゴクラクチョウ
2出集散花序
dichasium
花軸の先端に一つの花が最初に開き、次に下の葉腋から対生する側枝のそれぞれの先端に花が開き、また対生する側枝を出して花をつけることを繰り返すもの シュッコンカスミソウ
多出集散花序
pleiochasium
花軸の先端の花が最初に開き、次に下の葉腋から3本以上の側枝を出し、それぞれの先端に開花し、それを次々と繰り返すもの キリンソウ

同 形 複 合 花 序
(同じ種類の花序があつまったもの)
複総状花序 総状花序が組み合わさったもの ノリウツギ
複穂状花序 穂状花序が組み合わさったもの  
複散形花序
compound umbel
傘状。散形花序が2回重なって、大きな傘を広げたようにみえるもの フェンネル
輪散花序
verticillaster
穂状。密に詰まった2出集散花序が葉腋に対生して多数の花を付け、花軸を囲んで輪生状になったもの、複集散花序の一つ サルビア、ラベンダー

異 形 複 合 花 序
(2種類以上の花序があつまった花序)
穂状総状花序
穂状花序が総状に配列したもの ミヤコグサ
散形総状花序
散形花序が総状に配列したもの ウド
密錐花序
thyrse
穂状。2出集散花序が総状に配列したもの、複集散花序の一つ

 その他にも、例えば、円錐花序 panicle(例:アスチルベ、ツボサンゴ)のように花序の形により分類されたものもある。 これは、複総状花序、穂状総状花序、散形総状花序など異なった花序からも形成される。 (2002.9 up)

蒸散と乾燥

 蒸散は植物にとって重要なメカニズムです。そしてそれは大気中に含まれる水蒸気の量に影響を受けます。 一定の気圧、一定の温度の大気に含まれる水蒸気量は決まっていて、それを越えると水蒸気は霧、雨、または雪となります。例えば、気温30℃の空気中には最大で30.36g(1立方メートル当たり)の水蒸気を含むことができるそうです。 実際に含まれる水蒸気量が、その最大水蒸気量に対してどの程度の割合かを示すのが「湿度%」です。

 では湿度60%という同じ条件で、気温30℃の大気と20℃の大気とでは、洗濯物の乾きは同じでしょうか。...実は、これが同じではないのだそうです。

 水が蒸発する時の原動力は、実は、「湿度」ではなく、大気の「水蒸気要求度(飽差)」で決まります。つまり、その空気にあとどれだけ水蒸気が入る余地があるかによるのだそうです。

 上の湿度60%の例にとると、それぞれの空気の水蒸気要求度は、

 30℃の場合、30.36-(30.36x0.6)=12.14 1立方メートル当たり12.14g
 20℃の場合、17.29-(17.29x0.6)= 6.92 1立方メートル当たり 6.92g
となり、同じ湿度60%でも、30℃の方が20℃に比べてたくさん水蒸気を含む余地が残されいることになります。つまり水が蒸発しやすい、洗濯物が乾燥しやすいということになります。

 気温が低い例を考えると、気温5℃、湿度30%の際の水蒸気要求度は、気温30℃、湿度83%という高湿度の状態と同じだそうです。 つまり冬は湿度が低くても洗濯物は乾きずらいのです。なるほどね。

 これを植物の蒸散に当てはめてみると、冬に湿度が低くても、植物の蒸散、蒸散速度に大きな影響はなく、「冬場の水やりは控え目に」にはその意味でも正しいですね。 冬場の低湿度は、長期に渡ると影響が出てくるそうです。 (2002.2 up)

花びら、萼、苞

 もう少し詳しく知りたいと思うとやはり図鑑は必要になる。ただし、その記述はなかなか分かりづらく似たような熟語がでてきてもその違いが分からない。 それを調べていく内にまた分からない語に出くわし、それを調べて行くうちにを繰り返して結局最初は何をしらべていたのかしら???なんてことが私には良く起きる。 取りあえず区別が曖昧だった花弁、萼と苞くらいはまとめておくことにした。

 誰でも知っている一般的な花の構成員である花弁、雄しべ、雌しべ、萼の起源は全て葉である。 葉は進化の過程で様々な形に変化しその形と役割により、
   子葉、普通葉、苞葉(高出葉)、鱗片葉、花葉

などに分けられる。 この最後の「花葉」というのが上に書いた花の部分である。

 この花葉のうち雄しべと雌しべ以外を「花被」という。そして花被の数と形により以下のように分類されている。

無花被花
 (花被のない花:センリョウ、ドクダミ)
・単花被花
 (どちらか一つしかない花:クリ、クワ、ウド)
・両花被花
 (内側(内花被)と外側(外花被)に2輪以上ある花)
  ・異花被花
    (形態が異なり区別が付く花:バラ、サクラ) 
     外花被を「萼」、内花被を「花冠」と呼ぶ
  ・同花被花
    (両方とも花弁状になり区別が付かない花:
             チューリップ、ユリ、アヤメ)
 「花冠」というのは、花弁すべてを1つのセットとしてみた呼称である。 同じように萼の一つ一つは、萼片と呼ばれる。 なんとなく分かったような気にもなるが、もう一つ花冠と似たものに「苞」がある。 上に書いたようにこれも葉が変形したもので、「苞葉」のことである。

 事典には、葉が変形したもので腋に花を生じこれを保護するもの、と書かれている。 普通には、花柄の基部に着いている一つまたは一対の小さな葉のようなものらしい。 がその他にも、例えばドクダミの花弁状のもの、水芭蕉の白い仏炎苞、また菊のような多く花が集まった部分を囲むよう瓦状に重なり合った部分なども苞に当たるらしい。

 素人では、どれが花冠で、萼、また苞なのかは皆目見当も付かない。実際、研究者の方も内部構造、例えば維管束の構造や、世界に分布している同属種の構造などを考慮して決めるらしい。(2001.11 up)

球根の分類

 球根と一般に呼ばれている地下で栄養を蓄える器官は、その起源と形態により5種類に分類されるのが一般的である。
葉が変形した
 ・鱗茎(bulb) :ユリ、チューリップ、スイセン、ムスカリ
葉が肥厚して鱗片葉になったもの。重なり合った鱗片葉が合着したものと、合着しないものがある。
茎(地下茎)が変形した
 ・球茎(corm) :グラジオラス、クロッカス
葉が変化した皮膜状の外皮でおおわれた球状のもの。毎年新しい球ができ古い球と変わる。形は鱗茎に似ている。
 ・塊茎(tuber) :ジャガイモ、カラー、シクラメン
球茎とは異なり外皮におおわれない球状のもの。
 ・根茎(rhizome) :カンナ、ハナショウブ
球状でない不定形のもの。横に這い分枝して節に芽がある。
根が変形した
 ・塊根(tuberous root) :ダリア、カンゾウ、サツマイモ
根が肥厚したもの。
 では、葉と茎と根の違いは一体何だろう。こうして疑問は果てしなく続いていく。(2001.11 up)

乾燥ストレス

 植物は取り巻く環境により様々なストレスを受け、生長に制約を受けている。 その中で乾燥に対する水ストレスについて調べてみよう。

 植物の大部分は水からできていて、1日のうちに、体内含まれる量と同じ、時には数倍もの量の水が蒸散によって根から大気中へ出ていく。 これらの大量の水は、光合成などに使われるごく僅かな量のほか殆どは、体内の物質代謝や物質の輸送が円滑に行われるために使われている。 水は植物の中に留まっているのではなく移動することが大切らしい。

 植物は徐々に乾燥する条件下であれば、驚くほど水環境に適応した生育を示すことが分かっている。 一方で、例えば、梅雨のような湿潤条件下に適応した状態のあと、突然乾燥した夏がやってくると水分の吸収は間に合わなくなり、水ストレスとなる。

 水ストレスの影響の度合いは、乾燥の時期や影響を受けた器官により違いがでてくる。 例えば、地上部では、葉茎に対して抑制的にはたらき、特に花は敏感で、開花期前後のストレスは短期であっても種子の生産減少や不稔を起こしやすくなる。 根は地上部ほど乾燥の影響を受けず、逆に、分枝根が増え根の密度が増えたり、土壌深くや水分の多い方へ偏差成長することが確かめられている。

 これらの水ストレスに対する抵抗性として、回避と耐性というメカニズムが考えられる。 回避の例としては、ライフサイクル自体を適応させる一年草の種子、あるいは乾期には落葉してしまう乾燥落葉種などがある。 地下水脈に近づく深い根茎を発達させたたり、葉面積の減少させるなど形態的な適応、あるいは、古い葉の落葉、気孔の閉鎖、葉を巻いて太陽の受光量を減らしたりするのも、回避の一種といえる。

 一方、耐性のメカニズムとしては、浸透調整があげられる。 これは、細胞の内部の水分が低下し溶質の蓄積がおこると溶質濃度が上昇し、細胞の浸透ポテンシャルが低下する。これにより細胞内へ水分が流入し膨圧の低下を防ぎ、細胞の生長や気孔の開閉を維持することになる。 結果として、@低めの水ポテンシャルでも気孔が開き光合成が可能になる。A葉が巻いたり枯死するのを遅らせる。B葉や根の生長が維持される。C葉の低い水ポテンシャルのもとで蒸散が行われるので、低い水ポテンシャルの土壌からも吸水が可能になるそうだ。

 つまりこの浸透調整能力が高いほうが乾燥への耐性が強いことになるのだが、この耐性というのは、基本は「個々の種で遺伝的に決まっている」らしい。が、例えば同じ種でもポットで育てている個体と圃場で育てられている個体では、後者のほうが葉の生長や光合成の耐性が強いそうだ。 これは圃場のほうがゆっくりと土壌の乾燥が進むので、その間に浸透調整がおき、同じ水ポテンシャルで比較するとより高い膨圧を保つためと考えられている。

 ところで多くの作物では乾燥ストレスにより糖が蓄積されることが分かっている。 これは、総光合成産量が低くても、同時に葉の生長が抑制され呼吸も低下したために、光合成産物が消費されず、葉内での濃度が相対的に高まったということらしい。 このような受動的な蓄積だけでなく、積極的にアミノ酸、有機酸、カリウムなどを蓄積することもあり、これらが浸透調整に貢献しているそうだ。 (2001.1 up)

 急激に乾燥するような環境をなるべく作らないように気をつけよう。

短日植物、長日植物、中生植物と緯度

 短日植物とは、昼間が短くなることに感応し花芽をつける植物、例えば、ダリア、キク、コスモス、ポインセチアなどがあります。 逆に長日植物とは、昼間が長くなると花芽をつける植物、例えば、キキョウ、グラジオラス、カーネーション、デルフィニウムなどがあります。 それ以外は、日長に反応を示さない中生植物と呼ばれ、これには、バラ、スイセン、チューリップなどがあるそうです。

 正確には、昼間の長さに反応するのではなく、夜の長さに反応して花芽をつけるのですが、そのなかにも、特定の日長(限界日長)が刺激になる絶対タイプと、特定の日長ではなく、短ければ短いほどあるいは長ければ長いほど促進される相対タイプの2種類にわかれるそうです。

 これらの植物の性質が、実は、緯度による花の開花時期などに影響を与えるのだそうです。 日長の変化は、緯度が高いほうが大きいので(夏至の時、札幌の日長は15時間23分、鹿児島では14時間13分、約70分も違います)、例えば、短日植物のダリアなどは、なかなか日が短くならない高緯度地方では、夏ではなく秋口に咲くことになります。 (2000.3 up)

好日性と耐陰性と光合成

 植物の生長を規定する要因の一つが日光です。 緑色をした植物の殆どは、太陽からの光エネルギーを使い、根から供給される水と、気孔から取り込んだ大気中の二酸化炭素とから糖を生成し独立栄養を営みます。 このメカニズムを光合成と呼びます。

 当然ながら、光合成は光の強さに影響される訳ですが(実際には、温度や二酸化炭素濃度も関係する)、実はあまり影響されない植物があります。 これらは耐陰性と呼ばれる植物で、光合成は弱い光で光飽和点に達し、それ以上光が強まっても光合成産物が増えない観葉植物などがこれに当たるそうです。(2000.3 up)

 ところで、他の耐陰性植物などもこのようなメカニズムなのでしょうか?  

耐乾性と光合成

 光合成のメカニズムには3種類(C3植物、C4植物、CAM植物)あるそうです。 なかでも乾燥の激しい地域で生育するサボテンやベンケイソウ科の植物(CAM植物)は、日中は蒸散を防ぐために気孔を閉じ、夜間に気孔を開き二酸化炭素を取り込んで、昼間にそれを利用して光合成を行うというメカニズムを持っているそうです。(2000.3 up)

 今流行のエアープランツなどもそのようです。

植物の吸水と水移動

 ときおり水ポテンシャルという言葉を耳にします。 熱力学では、水の持つ単位体積当たりの自由エネルギーを「水ポテンシャル」と言うそうです。 水はこの水ポテンシャルの高いほうから低い方へ移動します。

 水ポテンシャルというのは様々なかたちで存在しているそうです。 高い場所から低いところへ水が移動するのは、位置ポテンシャルが高いから。 パイプ内の水などが水圧の高いところから低いところへ流れるのは、圧力ポテンシャルによる。 乾燥した土壌や植物の毛細管などの狭い間隙などでは吸着により水が移動しにくくなります。 この時、大きい間隙から小さい間隙へ水が移動するのは、マトリックポテンシャルと呼ばれ、土壌水のようにイオンなどの溶質が多く電気的に引き合う場所で水が移動するのは、溶質(浸透)ポテンシャルが働くため。 という具合です。

 土壌の水ポテンシャルは主にマトリックポテンシャルに左右され、植物体内の水ポテンシャルはそれより低く、大気はさらに低くいそうです。 従って、昼間気孔が開いていると、このポテンシャル勾配にそって高い土壌から、根、茎(維管束)、葉、気孔、大気へと水が上昇していきます。 夜に気孔が閉まると、植物体内の水ポテンシャルが高まり根からの吸水は少なくなります。 また、昼間でも土壌が乾燥し水ポテンシャルが植物よりも低くなれば根からの吸水は止まります。 (2000.4 up)

  つまり、気孔が閉じている夜に水遣りするより、早朝のほうが効果的なのかな? 逆に夜に気孔が開くエアープランツなどは、夜お風呂場に入れておくと良いかも? 一番調べたかったのは、日中暑い時間帯に水やりしてはダメ、という科学的根拠だったのですが、これが意外と難航してます。 

気孔の開閉

 気孔を通って出入りする物質は、「二酸化炭素」、「酸素」があります。 二酸化炭素は光合成に、酸素は呼吸に必須な物質です。 葉のなかは細胞がぎっしり詰まっているわけではなく、細胞の間に隙間つまり細胞間隙があります。 これらの物質はこの細胞間隙を通ってその濃度勾配にそって拡散し、葉のすべて細胞に行き渡るのだそうです。 従って植物は、気孔がいつも解放されているほうが光合成にとっても呼吸にとっても有利なわけです。

 一方、気孔を通るのはもう一つ「水蒸気」があります。 これは、葉内の水蒸気分圧と大気の水蒸気分圧の差、つまり湿ったほうから乾いたほうへやはり拡散されて行きます。 通常、大気のほうが乾いているので気孔が解放されていれば、水蒸気はつねに外気へ排出され、植物は水分のロスにさらされてしまいます。

 従って、植物はこの二つのジレンマを気孔の開閉により調整します。 この気孔の開閉メカニズムについては幾つもモデルがあるようですが、一応、「太陽光の特定の波長」、「二酸化炭素濃度」、「大気湿度」、「水分」が影響すると言われています。

 一般的に、太陽があがると気孔は開き夜に気孔は閉じます。また、大気が乾燥すると気孔は閉じ、外気と体内の二酸化炭素濃度比率が一定になるように開閉され、水分が不足すると閉まるようです。 (2000.4 up)

 これらが複雑に影響しあい、また、種によっても異なるようで難しい。でも夜に気孔が閉じてしまうと呼吸はどうなるのでしょう?

根の呼吸

 土の中で呼吸するのは、根だけではありません。 有機物を分解する際に好気性微生物も呼吸をします。 一方で呼吸の産物としての二酸化炭素や有機物の分解過程で発生する二酸化炭素は、土中の酸素濃度を著しく低めます。 従って、酸素が入り二酸化炭素が抜けやすい通気性の良い土が求められる訳です。 一般に土壌中の気相率が25%程度あることが根の呼吸を補償すると言われています。

 根の加湿の害は、酸素不足のため呼吸ができなくなり十分なエネルギーが得られなくなること、また、無酸素呼吸によってできる中間分解物のなかに有害なものがあり生育を損なうことによると言われています。

 植物の中には、この呼吸の代謝経路のなかに別経路があり、そちらにスイッチされることで加湿の害に抵抗性を示すものもあります。 また、通気組織と呼ばれる隙間を葉から根まで通して、根に酸素を送り込んでいるイネのような植物もあります。

 では、根は気体の酸素を直接取り込むのでしょうか、それとも土壌水に含まれる溶在酸素を取り込むのでしょうか?  これはどうも両方のようです。ただし、停滞している土壌水に含まれる溶剤酸素量はそう多くはないのでそれだけではすぐに枯渇してしまうようです。 土壌間隙に含まれる湿度の高い空気から取り込まれた酸素は、根毛の細胞間隙を通って根全体へ拡散していくようです。

  

休眠

 この休眠というのは、次の成長段階へ進む環境条件が与えられても、成長がとまっている状態のことでこれを自発休眠(自然休眠)と言います。 これに対して環境条件が整わないために休眠している状態を強制休眠(環境休眠)と言うそうです。

 一番分かりやすいのは、種子です。多くの成熟した種子は土に落ちた直後、休眠状態が続き、たとえ発芽の条件が満たされていても発芽することはありません。 この休眠は例えば低温に合うなどの特有の条件が整うことで破れ(休眠打破)、環境休眠になります。この状態で発芽に必要な温度、日照、水分の条件が満たされてはじめて発芽することができるのだそうです。

 この休眠のなかに花芽休眠というのもあります。 一般に、春に開花する梅やモモ、ツツジ類は、夏に花芽をつけた後に休眠してしまいます。 これらは冬の低温によって休眠から目覚め、気温の上昇とともに成長します。 一方、チューリップ、ヒアシンス、水仙の球根は、同じように花芽をつくって休眠に入りますが、低温に合う前に高温に合うことで休眠が打破され、その後の冬の低温状態で、根を伸ばし花芽・葉を成長させて、早春に花を咲かせるのだそうです。

 ところで、雑草は、環境休眠の状態で発芽の条件が満たされない状態が長く続くとまた休眠の状態に戻ってしまう、という二次休眠という性質を持っているそうです。 つまり、土中には色々な状態の種子が混在しており、種子の寿命は長〜く数年にも及び、草花のように「一斉に発芽して一斉に枯渇する」といことがないそうです。 また、大きく成長すると、多いものは1株から数万もの種子を産出する、という恐ろしい繁殖力の持ち主です。 (1999.6 up)

 なんだか、すぐにでも庭に出て草取りに励まなければならないような強迫観念になりそう。

春化(バーナリゼーション)

 多くの耐寒性1年草や秋植え球根類、宿根草は、冬の寒さに当たらなければ花芽を分化させ開花することができません。このように一定の期間、一定の低温に合わせて花芽分化させたり開花能力をつけることを春化といいます。

 上記の耐寒性一年草は、種子が水分を吸収し発芽が進んでいる状態で低温に合わせることで感応する種子春化型です。一方、2年草や宿根草の仲間は、植物体がある程度大きくなった状態でないと感応しない緑植物春化型だそうです。  (1999.6 up)

他感作用(アレロパシー)

 植物体から生産される物質が他の動植物に対して影響を与えること。 良く知られた例では、北米原産のセイタカワダチソウが根からポリアセチレンの一種を分泌して、他の雑草を制圧し全国に蔓延して問題になりましたね。 また、マリーゴールドはセンチュウを寄せ付けない物質を出すので有名ですが、ハッカ、キンレンカ、ハーブ類、ラッキョウなどもハッカあるいはタンニンを出し被害を軽減します。 ただし負の作用だけでなく、共栄的に働く作用もあります。例えば、チューリップをコノデガシワノの小枝と一緒にアレンジすると、二倍もの新鮮さを保つ効果がでるそうです。 (1999.6 up)

 関連項目:共栄作物、忌避作物、忌地現象、連作障害(自家中毒)

 これらの作用についてはまだ研究も始まったばかりということで余りよく分かっていないようです。

植物ホルモン

 植物の体内で作られて、他の場所へ移動し生理機能を制御することで生長過程を調整する物質のこと。

オーキシン 主に茎の生長、屈曲、果実の生長、などの促進作用があるが、根の伸長を抑制する。 体内を上部から下部への一方性で、茎葉では成長点から基部へ、根では根本から成長点へ移動する。
ジベレリン 普通に生育している植物の生長を促進する。
サイトカイニン 細胞分裂促進作用があり、葉の老化を抑える作用がある。主に根で生成されて地上部に移動する。 従って、根が健全でサイトカイニンの生成が盛んであれば、地上部に葉の緑色が保たれる。
アブシジン酸 植物がその生理活性を一次休止し、不利な環境下を休眠状態で生き残ることを可能にする。 例えば、種子登熟と休眠、気孔の開閉調節、乾燥及び塩ストレス応答など。
エチレン 生理作用は多様で、球根の休眠打破、成長の促進あるいは抑制、葉・花・果実の脱離促進、開花促進、果実の成熟促進、葉緑素の分解促進、呼吸作用の促進、タンパク質の合成促進、アレロパシー、老化促進、耐病性増大など。
ブラシノライド 低温下での成長促進・増収作用など。また、光がある状況で効果が発揮される。

 現在までに以上の6種類が認められています。 (1999.6 up)